【D視点】レクサス LS --- 周りの空気を支配する品格

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  第一印象:執着心

レクサス最高峰、『LS』シリーズの生産型に限りなく近い実車がお披露目された。目を見張るべきは、達成されているデザインの絶対的なまとまり、完成度である。これは、トヨタとして最上の「仕事」が成された結果であることは間違いない。

最上の「仕事」の中で、私が最も評価したいのは、コンセプト設定の緻密さと、それをきっちり商品のカタチに反映させたもの造りとしての執着心だ。

私がデザインから感じた印象は、スーツにたとえて言うと、伝統的なスタイルを踏襲しつつも、革新的な美意識によって少しだけアレンジされ、精妙な仕立てが成されている、と言った感じである。つまり、あくまで高級セダンとしてのフォーマリティを踏まえているのだ。

ディテールのデザインと造り込みのテイストも、落ち着いた高級感で統一されている。細部に至るまで妥協が無いことも真の高級の絶対条件であり、LSはそれを見事に達成している。これはオーケストラの指揮者と同様、チーフエンジニアの牽引力と執着心が無くしては為し得ないのである。

高級車開発のコンセプトで、最も重要なのが方向性である。わかりやすい例として、フォードグループの「斬新な高級」がテーマのレンジローバーと「不変の高級」がテーマのジャガーとの違いが挙げられるが、コンセプトとして具体的な方向性が明確に示されないとテイストがバラバラになり、見透かされてしまう結果になる。

このあたりについてトヨタは日本のどのメーカーより痛いほど判っているはずである。LSでは「不変の高級」に近いオーソドックスを基本にした「流行とは無縁の安堵感のある高級」を目指しており、特にインテリアは、コンテンポラリーなテイストで丁寧なデザイン処理がなされ、最近の高級ヨーロッパ車をしのぐセンスの良さと、素晴らしい仕上がりを見せている。

D視点:デザインの視点
筆者:荒川健(あらかわ・けん)---1949年生まれ、多摩美大卒。三菱自動車で『MT90X』、マツダでユーノス『プレッソ』や同『500』のチーフデザイナーを歴任。1995年独立し、デザインフォースアソシエイションを主宰。大手自動車メーカーのモーターショー出品コンセプトカー、韓国、中国メーカーの量産車デザインを手掛ける。現在パソコンテレビGyaOの『久米宏のCAR TOUCH!!』にデザインの指南役として出演中。

《荒川健》

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