ヨコハマ『DNA Sドライブ』ES03は21世紀のタイヤらしいタイヤだ。それはこれまで二律背反といわれてきた技術を、いくつも両立させた欲張りな性能を持っているからだ。
まずはハンドリング性能を満足させること。スポーツカーやスポーティカーをドライビングしたときにしっかりしたグリップにより高いパフォーマンスを出せる力をこのSドライブは持っている。そのもとになるのがナノパワーゴムだ。
合体ゴムに新ポリマーを配合するというナノテクノロジーから生まれたSドライブ用ナノパワーゴムにより、接地面積を10%も広げている。同じフットプリント(接地面形状)でもゴムがしなやかなので、路面の小さな凹凸に密着することができるから実質的な接地面積が広がるのである。ゴムは接地面積とグリップ力が比例する。顕微鏡で見る世界で接地面積を広げる技術なのだ。これだけでもグリップが10%アップしたといえるのだ。
ウエットグリップも上げている。低温になってもしなやかさを失わない合体ゴムのおかげで、雨の日のグリップ力が強いのだ。ヨコハマのデータによると、48.2mだった制動距離がナノパワーゴムの採用で4.5m短い43.7mと短くなっている。
転がり抵抗が小さいことで燃費が向上する。発熱を抑えることでエネルギーロスを小さくし、転がり抵抗を下げることができるのだ。これも合体ゴムの効果である。
接地圧分布の均一化で耐摩耗性の向上も狙う。これはトレッドパターンとナノパワーゴムの成果だ。トレッドパターンは高精度のシミュレーションにより、走行中のトレッド面に掛かる力を一部に集中させずに分散することで、接地圧分布を均一化することができている。
またナノパワーゴムはこの均一化された接地圧分布によって、最大限の性能を発揮することができる。これでまた全体の性能がアップするというわけだ。スポーツドライビングを愛するドライバーに、ハンドリング性能以外も満足させるためにできたタイヤがSドライブなのだ。