VW『ゴルフ』に追加された最上級グレードのGTXには、新世代のトランスミッションDSGが搭載されている。DSGはマニュアルギアボックスをベースにクラッチ操作やシフトを自動制御するユニット。奇数ギア側と偶数ギア側の2組のトランスミッションユニットを持つことで、100分の3〜4秒という短い時間での変速が可能となっている。
燃費に関しても、同じエンジンの6速MTよりもよいというデータもある秀逸なシステムだ。
DSGのメリットは走りにダイレクト感が生まれることだ。通常のオートマチックと同等の操作感覚を持ちながらも、シフトチェンジは瞬時に行なわれ、トルクの落ち込みがないうちに次のギヤで加速を始めている。もちろんシフトダウンもスムーズで減速に合わせて、うまい具合にギヤを落としてくれる。Dレンジの下にあるSレンジに入れれば、スポーツモードとなり、高回転まで引っ張ってからシフトするようになる。
アルファロメオのセレスピードのようにひとつのマニュアルギアボックスを自動制御するミッションよりも、はるかに素早くスムーズにギアチェンジを行なってくれる。
マニュアルモードでは、さらに顕著にそれが現れ、ブレーキングをしながらリズミカルにシフトダウンすれば、「フォン、フォン」と、巧みに空ぶかしを行ない、変速ショックなくスポーティなシフトダウンが行なえる。ただし、同じシステムを搭載する、ゴルフGTIやアウディ『A3スポーツバック』のようなパドルシフトがないのが惜しいところだ。
通常使ううえでの違和感もほとんどなく、発進時のクリープ現象がわずかに弱いのと、それが災いして坂道発進の際に、MT車のようにクルマが後ずさりしてしまうことぐらい。でも、これらの動きにはすぐに慣れることができるだろう。
GTXというとラグジュアリーなイメージが強いが、今度のGTXは積極的にギアをチョイスして走りたくなってしまうぐらい、スポーティにまとめられている。(つづく)