秋から冬に掛けて携帯電話の各キャリアは3G(第三世代)ケータイの新製品を相次いで投入してきた。
NTTドコモの「FOMA」、auの「CDMA 1X WIN」、そしてボーダフォンの「3G」シリーズなど、ボーナス商戦の目玉となっている機種も多い。これら最新型の3Gケータイには目新しい機能も数多く搭載されており、非常に魅力的。冬のボーナスで機種変更を狙っているという人もいるだろう。
だが、自動車メーカーのテレマティクス対応ナビをすでに使っている、またはこれから新車とともに購入しようという人は要注意。
実は多機能な3Gケータイはテレマティクス対応ナビと相性が悪い。相性が悪いどころか「物理的に接続できない」というものが大半なのだ。
ホンダや日産などのテレマティクス対応ナビは回線交換方式で通信を行っており、3Gケータイ最大の特長である「高速パケット通信」は使えない。
また、3Gケータイはパケット通信に特化させるため、外部との接続に使うコネクタもUSB化している。USB化されたコネクタは従来の規格とはまったく異なるので、見た目が同じ形状であっても通信させることができない。
ここが自動車メーカーの開発担当者が頭を悩ませるところでもある。
純正ナビはクルマとセットで設計するため、開発は数年前から始まる。開発がスタートした段階では「2004年末にケータイがここまで進化する」とは担当者も考えていなかった。
これまでは自動車メーカーと電話キャリアの交流もなく、お互いがお互いの都合で開発を進めてきた。このため、現在のような状態になってしまっているというわけだ。
接続できない3Gケータイだが、抜け道的な例外もある。それはBluetooth(ブルートゥース)対応の電話機を使うということ。auの『W21T』(東芝製)はコネクタがUSB化されたため、ケーブルを介しての回線交換による通信はできないが、ブルートゥースを介してしまえばそれが出来てしまうという。
「ケーブルでは接続できない」としながらも、ブルートゥース接続に対応したトヨタ『G-BOOK』の一部機種では、ブルートゥースを介してハンズフリー通話が、同じくブルートゥースに対応した『ティーダ』以降に採用された日産カーウイングスナビでは、ハンズフリー通話と回線交換によるデータ通信が可能となる。ホンダに関してはブルートゥースに対応したナビが無いため、現状では最新の3Gケータイは使えない。
幸せなカーライフを実現するためにも「自分が買おうとしている携帯電話がナビと接続して使えるのかどうか」の情報は今や必要不可欠なもの。テレマティクス対応ナビをラインナップする自動車メーカーでは、接続可能な携帯電話の対応表や、動作確認の有無などをWebで公開しているので、これらを参考にした上で電話機を購入してほしい。