ボルボってさ、私事で恐縮ですが、自分とは一番遠い世界にあるクルマだったんだ。安全で退屈で家庭第一っぽくて、まるで人生守りに入りまくりじゃない! そんなヨーロッパのオッサンクラウン乗ってられっか! って。なかでも一番下の40シリーズは、三菱『カリスマ』との共同開発車で、カリスマは値段の割にとてもいいクルマだったけど、40は「貧乏臭いボルボ」。存在感は極めて希薄だった。
で、そうこういってるうちにボルボはフォード傘下に入り、三菱とは手を切って、今度の『V50』と『S40』をマツダ『アクセラ』ベースで作ってきた。ただし、見た目はまさにボルボ。一瞬、『70シリーズ』と区別がつかない雰囲気で、これは一番下のモデルとしては大事なことだと思う。
エンジンは全車直列5気筒で、グレードは3つ。一番上がターボの“T-5”で、次がNAエンジン170psの“2.4i”、一番下が同じくNAエンジン140psの“2.4”だ。
先行して乗ったT-5は、ボルボとしては驚天動地に面白いクルマだった。今までのボルボとは、走りが根本的に違う。動きがシャープで、退屈どころか抜群のフットワーク! いっぺんにこのV50/S40を見る目が変わったところで、今回のNAモデルの試乗ってことになった。
値段見ると、T-5はヘタすりゃNAより100万円高い。つまりNAモデルはぐんと安くてお買い得ってこと。つーか、T-5は70シリーズのNAモデルが楽勝で買えるくらいの値段なんで、実際買おうかと検討するのは、主にNAのほうじゃないだろうか。(つづく)