すでに5代目の次期モデルが発表されている『ゴルフ』だが、日本では4代目ゴルフもまだまだ現役だ。十分な質感の内装やボディは、これだけ見れば何の不満もない。
“最終型”となるであろう2004年モデルの「GTI」はティプトロニック付5速ATのみ。1.8リットルのターボ付き4気筒5バルブDOHCエンジンは、150psと輸入車としてはごく平均的なスペックだが、アクセルを深めに踏み込むと、低い回転域から豊かなトルクを発生する。その出力特性たるや、ロープレッシャータイプ特有の、ひとクラス上の自然吸気エンジンのようなパワー感が味わえ、日常ユースで極めて扱いやすい。アクセルを戻せば、かすかにブローオフバルブの音も聞こえてくるが、ターボエンジンを駆っている意識は皆無だ。
さらに「GTI」は、荒々しさをまったく感じさせない内外装が「洗練」さを物語っている。デザインは幾分地味ながらもホールド性がアップした専用シートと205/55R16のタイヤ以外に「ホットハッチ」を感じさせる部分がないのだ。内装はベーシックグレードに比べ、むしろ大人しさを感じさせる木目パネルが装着され、上質なスポーティグレードの位置づけになっている。
モデル末期を向かえたこの時期でも、現行型デビュー当時から乗った印象が変わらないという、揺るぎない安心感を維持していることに、ゴルフのブランドとしての偉大さを改めて実感した。完熟の域に達した『GTI』に乗るということも正しい選択肢としてあり得るだろう。しかし、本国デビューを果たした、『ゴルフ5』の日本導入を間近に控えたいま、やっぱり5代目が霞んで見えてしまうのは抗しきれないところだろうか。