JR東日本は15日、JR中央線の高架化に伴う工事で頻発し、同社へのクレームが集中している「開かずの踏切問題」を解消するため、今後半年間以内に踏切システムの改良を実施することを明らかにした。
速度の遅い列車と、速い列車の違いを見極め、前者の場合には踏切の作動開始(遮断制御)タイミングを今よりも若干遅くし、遮断機の上がっている時間を長くするという。
これはJR東日本が15日に発表したもの。JR中央線のうち、高架化工事が実施されている三鷹−国分寺駅間にある13カ所の踏切は、従来の線路の外側に新たな線路を配置したことで踏切の全長が平均で8.6mも伸び、これまでは通過できていた所要時間で対岸に渡りきれなくなった。
また、列車の接近を感知する地点も新設された線路では従来と代わり、多少手前になったため、朝のラッシュ時には1時間のうち59分近くも遮断機が降りっ放しの状態が続く。ある踏切ではダイヤ通りに動いた場合でも遮断機の全開時間がわずか20秒、ダイヤが乱れた場合には全く開かなくなるなどの事態が続いていた。
このため、JR東日本では踏切遮断機の動作ロジックを見直し、速度の遅い列車の場合には遮断制御を最大5秒遅らせるという対策を実施することを決めた。同時に遮断機の上がる速度も今よりスピーディにして、この部分で2秒の短縮を図るという。
同社では「安全管理の問題と照らし合わせ、現状可能な限りの妥協策」とするが、全閉時間が劇的に短くなるというわけではなく、試算では58分程度が精一杯とする。しかもこの対策がすぐに実施されるわけではなく、システムの大幅な変更を伴うために早くて数カ月、最大で半年間を要する見込みとしている。