【D視点】新型『XJ』……ジャガー・パートII

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●開き直っての真打登場、最後につまづく?

すでに旧型となったジャガーのフラグシップサルーン『XJ』に今やオーラさえ感じるのは、三十数年も生き続けた重みに違いない。流麗な外観のスタイル、英国の高級家具のように高価な木目材、あるいは革のようなディテールがジャガーに対するイメージではあるが、XJのオーナーが密かに堪能しているのは、巧みに演出されたインテリアが持つ“独特の広さ”にあることはあまり知られていない。これは英国の友人宅に招待された折に感じたインテリア空間に通じる。  

このXJの新型が発表された。すでに兄弟車が矢継ぎ早に発表された後なので、先代と並べないとわからないくらい“わずかに今風にされたデザイン”は、予想の範囲とはいえ古く見える。このようなデザイン傾向は『ニュービートル』、『ミニ』とすっかり市民権を得ており、開き直っての真打登場ということか。

ボディ外皮に乗用車では珍しい高価なアルミニウムを用いて車体の軽量化を図り、エンジンや足回りは最新のラグジュアリカーに相応しい装備となっている。古い皮袋に新しい酒を入れたようなクルマ、それが競合他車に対して新型XJが訴求するコンセプトになっている。

クルマの全長を100mm近く拡大して室内容量を40%近く増すことにこだわったのは、先代の長所であるインテリアの広さを大切にしたからに違いない。しかし期待に胸膨らませて乗り込むと失望させられる。ウインドシールドを寝かせ今風のスムーズなデザインのキャビンにしたため、拡大された容積以上に頭頂空間の圧迫感がある。旧来の製品にあった独自性を流行が壊した点だ。

近代化は甘い蜜だけではない。このことを多くの人は承知している。しかし、すべてを薄味で曖昧にしてしまうのも、時の流れと簡単に納得すべきなのであろうか? おそらくこれまでジャガーを愛した人たちは残念がるに違いない。新型XJは十中八九うまくいった仕事が最後の着地でつまずいた感がある。惜しいことだ。

ジャガーは生まれ故郷の、古い町並みが残るイギリスの風景に馴染む。日常生活のロンドンから、たまには北の町ヨークやチェスターへの遠出も快適であろう。日本では赤坂あたりを流すのが定番だが、雑多な町並みの中を浮いた感じで走る非日常感がラグジュアリカーXJにあんがい相応しい。
《松井孝晏》

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