【D視点】新型『XJ』……ジャガー・パートII

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●名門のイメージはノルマンディの牧羊

1922年、オートバイ乗りウイリアム・ライオンズとウィリアム・ウォムズレーが設立したスワロー・サイドカーは、名前が示す通りサイドカーのメーカーとしてスタートした。45年に社名をお馴染みのジャガーに変更、さらに高級車メーカーのデイムラーを吸収合併。『XK』、『Eタイプ』、XJなど歴史に残る数々の名車を生み出した。これらのクルマは流麗なスタイル、高性能、しかも競合他車に対してはるかにお買い得な価格と三拍子がそろい、創業当時は大変な人気を博した。

昔、ジャガーを見学させてもらう目的でディーラー訪問をしたおり、先代XJ兄弟では兄貴分にあたる「XJ12」が修理に入っていた。長大なボンネット一杯に、絹のように滑らかと称される巨大なDOHC・V12気筒を搭載した代物で、配線や配管が錯綜し、まるでエンジン組み立ての最後の仕上げにスパゲッティを盛り付けたような景観であった。その途方も無い代物を熟練整備士が丁寧に修理していた。オーナーと思われる年配のおじさんはそれを楽しむかのように気長に待っている。こんな風景がジャガーを愛する日本人オーナーのイメージであったような気がする。

最近ドーバー海峡に面したノルマンディの小さな避暑地の町に行く機会があった。羊が数匹集まる白い斑点を所々につけ、薄黄緑のなだらかな起伏が地平線まで続く景色。この景色が先代XJの、それもインテリア空間の雰囲気と不思議に重なった。このように、日常的には体験できない生活のシーンそのものが、他のラグジュアリカーとは一線を画したXJの価値であった。おそらくジャガーのオーナーはこのことを承知していたのであろう。

“出来は悪いがどこか魅力のある息子”だったジャガーも新しい時代のユーザーには見放されてか、1990年にフォードに買収されてしまう……。

《松井孝晏》

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