オートバックスがスズキ、ベネトン・ジャパンとタイアップし、新車の軽自動車を販売する目的は「女性客の囲い込み」だ。クルマは移動に使うだけで、カー用品には興味を持たない女性をいかにしてオートバックスに誘導するかがテーマになっている。
女性客を集めるための方法としては何が適切か。オートバックスが導き出した答えは「オートバックスでしか購入できない、女性が好ましく思うクルマを販売することだった」と、オートバックスセブンの住野公一CEOは説明する。
今回の『ラパン・ベネトン』の場合、一定の販売量を確保するという意味でスズキ販社での取り扱いも行うことになっているが、将来的な目標はあくまでも「オートバックスでしか購入できないクルマを売る。さらには一緒にカーオーディオやナビも買ってもらうことにある」という。
スズキのクルマにベネトンのデザインを施すという方向性が決まった際、実はベース車として候補に上がっていたのは『MRワゴン』だった。日産にOEM供給されている『モコ』を含め、かなりの数が売れているという実績があったからこそ選択されていたが、それが急きょ『ラパン』に変わったのは「女性客の取り込み」という点で不安が残ったためだ。
販売を担当するオートバックス・カーズの統括マネージャー、竹内諭さんは「MRワゴンは幅広い世代に向けてアピールできるクルマですが、それが災いして当社の想定した“若い女性向け”というコンセプトから逸脱する可能性もあった。普通のクルマは幅広い層にアピールしなくては売れ行きが伸び悩みますが、当社としてはそれではアピールポイントがぼかされるようで困る。客層を限定したい。若い女性のハートをギュッとつかむピンポイントアタックをしなくちゃならなかった。そこでMRワゴンではなく、ラパンにしました」と語る。
将来的にはオートバックスで他のクルマを扱うことも想定しているが、この際にMRワゴンを選択するという可能性もまだ消滅していないという。