気になるニュース・気になる内幕——今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2003年新春スペシャル版
新年おめでとうございます。21世紀に入って3回目の新年を日本は出口の見えないデフレ不況のなかで迎えた。この「新聞ウオッチ」も年末の28日から数えると9連休となるが、そこで、この休みの間の各紙をチェックする。
毎年元旦に配達される一般紙は、別刷りを含めボリュームたっぷり。まず、ページ数では今年も116ページ(昨年は120ページ)にも及ぶ日経がトップ。次いで朝日と読売が100ページ、産経92ページ、毎日88ページなどとなっている。
新聞のページ数は広告担当の集金能力が左右されると言われるが、もっともインパクトのある本紙最終面をすべてサントリーがカラー全面広告で独占していた。広告では、トヨタや松下電器などの常連組に加えて、日産が、2月3日デビューの新型セダン『ティアナ』をアピールした全面広告や、3日の各紙に掲載されたホンダの燃料電池車の広告も目を引いた。画期的な燃料電池車のシステムをイラスト入りで解説していたのはわかりやすかった。
さて、気になる元旦のトップ記事だが、「米支援のイラク新法検討」(毎日)をはじめ、「尖閣3島、国が買い上げ」(読売)、「米、北朝鮮に条件付き対話提案」(産経)など、日本を取り巻く国際情勢関連の記事が目立った。ユニークなところでは、東京に掲載の「元気を出せニッポン、明日を探す50人」のトップバッターがビートたけしで、「おいらだって生きてきた」と言う見出しが1面を飾ったのは前代未聞。
政財界関連では、構造改革の遅れから小泉首相への批判と注文が多いほか、奥田碩・日本経団連会長のインタビューを各紙とも大きく取り上げていた。消費税率の引き上げなど「奥田ビジョン」の要旨を紹介していたが、各紙とも消費税率が16%の引き上げとなっているのに対し、産経だけが「18%」と提案としている。これはどういう意味なのか?
自動車関連の記事では、トヨタが植物素材などで作る「バイオプラスチック」を開発したと、読売(1日)が報じた以外は目新しいものはほとんどなかった。そんななかで、3日付の各紙には「昨年の交通事故死激減」という警察庁の発表記事が載っていた。飲酒厳罰の法改正が奏功したという。
新年に入っても相変わらず明るい記事が少ないなかで、米国の経済誌「ビジネスウィーク」が「世界の経営者ベスト25」を選んだが、日本から張富士夫・トヨタ自動車社長ら3人が選ばれた(4日・日経)。さらに、米国の昨年の乗用車販売台数でトヨタの『カムリ』が2年ぶり首位、高級車ブランド部門でもトヨタのレクサスが1位に輝いたと報じている(5日・毎日)。
また、新年恒例の各紙の「社長交代予測」では、自動車メーカーで「トヨタとホンダが注目。スズキも濃厚」という予測を産経(3日)が取り上げていた。予測のなかでも今年の株価だが、日経の経営者有識者40人に聞くのコーナーで、トヨタの張社長が高値を1万2000円(6月)、安値を8500円(2月)とズバリ予測。
それにしても、各紙ともデフレ脱却を願う特集企画が多かったが、2003年の経済もデフレが長期化するなかで外需が息切れし、厳しい局面が続くことは避けられないだろう。