フォードのジャック・ナッサーCEOは、昨年8月から一貫して「ファイアストンが悪い」と言い続けているのだが、今回の公聴会ではその手が通じなくなる一面があった。共和党のトージン議員がナッサーCEOに対して激しい追及を行ったからだ。
トージン議員は「ファイアストンだけが悪いという、フォード側の主張には何かを隠そうとする作為的なものを感じる」と、冒頭からバッサリと切り捨てた。その上で今回実施するとしている1300万本規模のリコールについて「待った」をかけるようなデータを示している。
それは「リコール対象となったファイアストン製より、交換に使われるタイヤの方がより危険である」というもの。第三者機関が調査し、共和党が入手したというデータによると、ファイアストン社製『ウィルダネスAT』の欠陥率は100万本中5本であるのに対し、グッドイヤー製『ラングラーAT』の場合には、それが124本になり、逆にユーザーを危険にさらす可能性がある。つまり「今回の予防的措置には何の意味もない」と、フォードのリコール実施が強行されたものだということを匂わせた。
また、『エクスプローラー』の安全性について、フォードは口頭で「安全だ」と繰り返すのみで、どこがどう安全なのかを示す具体的データを示していないと激しい口調で追及する場面もあり、ナッサーCEOの反論もぎこちなく、ただ顔を青ざめさせていた。