『G-BOOK』端末は、OSに『WindowsCE Automotive』(以下CEオートモーティブ)を採用している。システムをWindowsベースとしたことで、従来型(I-TRONベース)のカーナビ以上の拡張性を持ち、コンテンツ作成などにも真価を発することになるだろう。
『G-BOOK』はパケット(データ)通信を利用して様々なコンテンツをダウンロードし、カーライフに活用することができる。通信を組み合わせることで多機能化を果たしたが、その反面、これまでのカーナビよりは操作が複雑となった。
10月に『WiLL VC』と同時に発表される予定の『G-BOOK』の基本契約料金の一部がわかった。
さまざまな機能/コンテンツ/サービスが期待できる『G-BOOK』。だが車載端末に限れば、もっとも基本的な機能はカーナビゲーションだ。カーナビ機能は通信契約を結ばなくても利用できる機能であり、ルートを引く演算は端末側で行なう。
クルマと情報機器の買い換えサイクルの格差。このジレンマを解決するために、G-BOOKは「パソコン的」なアプローチを取る。マイクロソフト社の車載情報端末向けのOS(基本制御ソフト)「Windows CE for Automotive」を使い、EタワーでSDメモリー内のOSを"バージョンアップ"できるようにするのだ。
G-BOOKは通信ユニットを内蔵しているという特長をいかしたセーフティ機能を搭載している。
ホンダ『インターナビ・プレミアムクラブ』対応のカーナビゲーションで、VICSによるリアルタイムの交通情報や、ニュースや天気予報のコンテンツをダウンロードする場合、ユーザーが普段使っている携帯電話を使うことになる。
トヨタが提供する『G-BOOK』のサービスは、今年10月からスタートする。PDAや携帯電話から一部のコンテンツを利用することができる「G-BOOKライト」と呼ばれるサービスで、クルマでの使用は10月に発売予定の『WiLL VC』まで待たなくてはならない。
G-BOOKの情報サービスは、最新の情報と位置情報がリンクして行きたい場所を探す「ライブナビゲーション」、ニュース、天気、交通情報、金融情報などの「インフォメーション」、メールや伝言板・掲示板など「コミュニケーション」、音楽と映像「エンターティメント」、パネルタッチで買い物ができる「Eコマース」など多種多様に取り揃う「コンテンツ機能」が豊富にそろっている。
G-BOOKのコンテンツで何が大ヒットするかは、ふたを開けてみるまでわからない。し かし、G-BOOKサービスの軸がクルマ向けである以上、道路交通情報関連のコンテンツ が充実するのは必至だ。
もうひとつの情報の出入り口。それがSDメモリーカードだ。G-BOOK端末はSDメモリーカードをあらゆるデーターを保存する主記憶装置として使う一方で、大容量データーを車内に持ち込むための容器としても使っている。
今秋、登場するG-BOOK専用端末は今までのカーナビゲーションシステム(カーナビ)にない特長を持っている。それはセンターとの情報のやりとりなど、データ通信を行う通信機器を内蔵している事だ。G-BOOK端末はハンズフリーフォンを使う目的以外では、携帯電話を接続する必要がないのだ。
G-BOOKの料金は、プロバイダー料に通信費がセットになった定額制。インターネットでいえば、各プロバイダーのADSLの料金体系に近い(フレッツ・ADSLは除く)。トヨタは無料の基本コンテンツを充実させる一方で、他社から提供される無料コンテンツも優遇する方針なので、毎月のG-BOOK基本料だけでかなりのサービスが受けられるようになる模様だ。
『G-BOOK』で行うことができるのは、音楽や地図データのダウンロードだけではない。将来実現する家庭内に設置されたホームサーバーにアクセスすることで、家電の遠隔操作も可能だ。家に着く前に照明を灯したり、エアコンのスイッチを入れることができる。
G-BOOKはクルマだけの情報サービスではない。パソコン、PDA、ケータイなど複数の通信端末と連動するようになっている。このシームレスなサービスを支えているのが、GAZOOセンター内の「UCS (ユーザーカスタマイズサーバー)」と、コンテンツ開発用の開発言語「G-BOOK-ML」だ。