日本を代表する今年のエポックカーは、トヨタが送り出した新感覚のスモールカー、『iQ』と、日産が技術の粋を集めて開発した『GT-R』の2台だろう。他のクルマはこの2車と比べると影が薄い。案の定、COTYはiQとGT-Rとの一騎打ちとなった。
アウディ『80』から数えて8代目になる『A4』は、モデルチェンジを機にボディサイズを兄貴分の『A6』並みに拡大した。押し出しが強くなり、風格も増したが、日常の取り回し性は今一歩だ。
初対面のトヨタ『iQ』は思っていた以上に小さかった。全長は360cc時代の軽自動車サイズだ。ただし、全幅は小型車枠ギリギリの1680mmまで広げられている。驚かされたのはドアの大きさだ。
30年以上もコンパクト・ファミリーカー市場をリードしてきた『カローラ』が大きく変わるのは2000年8月だ。9代目は21世紀のコンパクトカーのグローバルスタンダードにふさわしい「世界戦略車」を目指し、登場した。
バブルが弾けた90年代は、ユーザーのクルマ選びが大きく変わった時代である。ミニバンやSUVが台頭し、徐々にセダン離れが進んだ。95年5月、『カローラ』は8代目にバトンを託した。安全と環境への配慮を全面に打ち出しながら「社会との調和を目指すベストコンパクトカーの創造」が開発のテーマである。
バブル期に販売された6代目を正常進化させたのが、7代目『カローラ』だ。100系と呼ばれる7代目は「次世代基準の創出」をコンセプトに掲げて登場した。
VW『ゴルフ』と世界一の座を争い、コンパクトカーのベンチマークに成長した『カローラ』は、87年5月にモデルチェンジを断行した。目指したのは「クラスを超えた世界のハイクオリティカー」だ。開発がバブルの始まりとリンクしたこともあり、品質感の向上には力を入れている。
80年代になると、コンパクトカーにFF化の波が押し寄せてくる。初代モデルからよきライバルだったマツダ『ファミリア』もFF2BOXに生まれ変わった。83年5月、5代目の『カローラ』がベールを脱いだ。80系と呼ばれるカローラの特徴は、2タイプの駆動方式を採用したことである。
兄弟車の『スプリンター』を含めると、累計生産台数が800万台に迫った『カローラ』は、79年3月に満を持してモデルチェンジを断行した。排ガス対策が一段落した時期であり、エンジニアの意気込みも違う。70系と呼ばれる4代目は、今見ても美しいデザインだ。
『コロナ』と正面から勝負できる上級志向のファミリーカーとして開発されたのが、3代目の30系/50系『カローラ』である。74年4月にベールを脱いだ3代目は、その型式から「カローラ・サンマル」と呼ばれた。キャッチフレーズは「大衆車の決定版」だ。