神戸製鋼所とマツダは4月22日、両社が共同開発した「電着塗装性向上溶接技術」が、2025年度 溶接学会「田中亀久人賞」を受賞したと発表した。マツダにとって同賞の受賞は今回が初めてとなる。
田中亀久人賞は、日本のものづくりを支える溶接技術の発展に大きく貢献した実用技術を対象に、溶接学会が授与する専門技術賞だ。
■開発の背景
自動車の足回り部品は安全性・耐久性が強く求められる重要部品だ。一方、自動車の軽量化に不可欠な高強度薄鋼板は、溶接部付近の錆によって板厚が減少するという問題を抱えていた。特に厳しい腐食環境下では、溶接後工程である電着塗装の不良を起点とした腐食が部品の寿命を悪化させるという課題があった。
■技術の内容
両社は足回り部品のアーク溶接技術プロセスに着目し、溶接時に発生する「溶接スラグ」(溶接部に生じる非金属物質)の発生量を極限まで抑えるとともに、生成されたスラグを凝集させることで電着塗装不良を低減する新技術を確立した。
具体的には、シールドガス組成・溶接ワイヤ組成・溶接電源の波形制御を最適化するとともに、シールドガスノズル径がスラグ生成挙動に大きく影響することを新たに発見。実験と解析によってその影響を解明し、最適な管理条件を定義することで溶接ビード上のスラグ被覆面積を極小化した。
耐食性評価試験では従来技術と比べて3倍以上の耐食性向上効果が確認された。実際の自動車部品を用いた評価でも、従来は著しい錆が発生していた条件下でほぼ錆の発生が認められないという顕著な効果が実証されている。
■役割分担
技術開発において、神戸製鋼所は溶接材料および溶接プロセス技術の開発を担当。マツダは部品そのものおよび部品メーカーにおける量産化の検証・評価を担当した。両社の技術的知見を結集した実用化までの一貫した取り組みと、多くの車種への採用・量産実績、そして日本の溶接業界および自動車分野の生産技術の発展への貢献が高く評価された。
■採用実績と今後
本技術は2019年発売の「マツダ3」以降、これまでに9車種・累計350万台を超える車両に適用されており、軽量化による走行性能や燃費性能の向上に寄与している。直近では日本で今春中に発売予定の新型「CX-5」にも採用されている。
授賞式は2025年4月22日、大阪大学 中之島センターで行われた。
両社は今後も共創活動を通じて溶接・接合技術のさらなる高度化を図り、自動車の軽量化や環境性能の向上など社会課題の解決を目指す、としている。









