「EVらしい走り」重視のストロングHEV 第3の選択肢として中国勢が開発する背景とは

ジーリーが発表した i-HEV搭載車
  • ジーリーが発表した i-HEV搭載車
  • ハイブリッドシステム「HYBRID+」搭載のMG ZS
  • 新興国を中心に格安ハイブリッドSUVとして人気を博すチェリー・ティゴクロス
  • ブルーコアスーパーエンジン(1.5L直列4気筒ターボエンジン)
  • 長安汽車のパワートレイン群「ブルーコア」
  • 長安汽車 CS75 PLUS
  • 毎年4月に開催される北京モーターショー(写真は2024年)

BEVシフトが踊り場を迎える中、中国メーカーからは続々と新たなストロングHEVが登場している。これまでのEV開発からフィードバックした「モーター主体のHEV」は中国市場の熾烈な競争を新たなステージへと移しつつある。

◆中国メーカーは二刀流

「電気自動車(BEV)一辺倒」と思われがちの中国市場だが、ここ2~3年ほどはBEVに加えて、プラグインハイブリッド車(PHEV)もしくはレンジエクステンダー付きEV(EREV)の二刀流で各社は新車種を投入する傾向にある。2025年の中国市場における新エネルギー車販売はBEVが1060万3000台、PHEV(含EREV)が583万5000台を記録した。新エネルギー車最大手の「BYD」を例にとれば、2025年の総販売台数460万2000台のうち、BEVは225万6000台、PHEVは228万8000台と、ほぼ同等の売り上げとなる。

そして特に最近では、日本勢が長年得意としてきたストロングHEVの技術開発も中国各社は進めている。熱効率を極限まで高めた自社開発のエンジンに、BEVやPHEV開発で培ったトランスミッション/モーター技術を組み合わせた新たなHEVシステムは各社の技術力を見せ所となっている。

◆トレンドはHEVか?

4月25日から開幕する北京モーターショー2026を前に、いくつかの中国メーカーは2026年のトレンドがHEVになると予期させるような発表を行なっている。中国の民営メーカーとして2番目の販売規模を誇る「ジーリー」も、熱効率48.41%を達成したと主張する1.5Lターボエンジン搭載の新HEVシステム「i-HEV」を4月13日に発表した。

ハイブリッドシステム「HYBRID+」搭載のMG ZS

中国メーカーのHEVで注目したい点のひとつが、搭載する駆動用バッテリーの大きさだ。ジーリー以外にも上海汽車傘下の「MG」や国営メーカー「チェリー(奇瑞汽車)」は自社のハイブリッドSUVに容量1.83 kWhのバッテリーを搭載しているが、これは1~1.5 kWhが主流の日系メーカーよりも大きい。大きいバッテリーは各社が共通して掲げる「ストロングHEVでもEVらしい走り」を支える重要な要素で、モーター駆動を主体とするHEVはEV開発で技術力を上げてきた中国勢ならではの考えと言える。

中国ではBEVにおいてバッテリーの大型化や充電性能の強化で航続距離の不安を解消しようとする一方、依然としてその不安からガソリン車やHEVに乗り続けるオーナーは多い。そういった需要を汲みとり、ガソリン車の安心感にEV技術を加えることでさらなる低燃費化を各社は目指しているようだ。


《加藤ヒロト》

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