日立建機は12月15日、産業廃棄物の中間処理を行う石坂産業の協力を得て実施した実証試験において、バッテリー駆動式ショベルが稼働時の電力負荷を平準化できることを実証したと発表した。
これにより、電動建機の普及における課題の一つである電力インフラへの負荷を軽減し、施工現場のカーボンニュートラルの実現を推進する。
昨今、GX建機認定制度の開始など、日本国内でも電動建機の導入機運は高まりつつある。電動建機は排出ガスを出さず静音性に優れる一方、充電や電力供給といった運用上の課題がある。
有線式電動ショベルの場合は、常時給電が必要なため電力インフラへの負荷集中や、ケーブル接続による移動範囲の制約がある。石坂産業も有線式を採用しており、作業内容によって変動する電力負荷の平準化や運用の柔軟性向上への期待も高まっている。
今回の実証試験では、バッテリー駆動式ショベルを商用電源とバッテリーを併用して稼働させた結果、電力供給を一定に保つことで、ピーク電力を抑制できることを確認した。
この結果を踏まえて、日立建機がバッテリー駆動式ショベルと有線式のピーク電力のデータを試算・比較したところ、理論上、有線式に比べてピーク電力を60%低減できる見通しが得られた。これにより、施工現場の環境負荷や電力インフラへの負荷軽減につながることが期待できる。
また、敷地内のリサイクル資材の仕分けなど、従来ディーゼルエンジン式で行っていた移動を伴う仕分け作業において、バッテリー駆動式ショベルZE135がバッテリーのみで稼働することで、エンジン式と同等の作業が可能となり、現場での電動ショベル運用の幅を広げられることを確認できた。
日立建機は、今回の実証試験で得られたデータを活用し、これまで以上に実践的な電動機械の運用方法を顧客に説明できるよう、提案力を高めていく。



