EUがエンジン車の禁止撤回、日本はEVの補助金40万円上乗せへ[新聞ウォッチ]

EUがエンジン車の禁止撤回、日本はEVの補助金40万円上乗せへ…写真はルノーのEV『トゥインゴ E-Tech』(参考画像)
  • EUがエンジン車の禁止撤回、日本はEVの補助金40万円上乗せへ…写真はルノーのEV『トゥインゴ E-Tech』(参考画像)
  • フォードモーターの欧州製EV(参考画像)
  • プジョー E-3008(参考画像)
  • スズキ eビターラ(参考画像)

自動車を取り巻く諸事情からみれば「背に腹は代えられない」というのもわからなくもないが、欧州や日本などの先進国が目標に掲げる「脱炭素社会の実現」が後ずさりしてしまうのが気に掛かる。

【画像】欧州メーカーのEV

欧州連合(EU)が、ガソリンなどを燃料とするエンジン車の販売を2035年に禁止するとした方針を見直すという。製造時に二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えた鉄鋼を使ったガソリン車やハイブリッド車(HV)などの販売が一定数認められることになり、禁止の方針は「事実上撤回」となるようだ。

きょうの各紙も「EU、エンジン車禁止撤回、35年以降、条件付き容認へ」などの見出しで報じている。EUはこれまで新車で販売される自動車が排出するCO2の量を、35年までにゼロにするという規制を発表。ガソリン車などの販売を禁止することで、走行時にCO2を排出しない電気自動車(EV)を普及させることを目指していた。

だが、欧州市場でEVが新車販売に占めるシェア(占有率)は現在、16%にとどまり、想定より普及が遅れている。このため、見直しは、自動車産業の影響が大きいドイツや、自動車メーカーなどで作る欧州自動車工業会などが求めていたという。

こうした中で、読売は「HVやPHVに強みを持つ日本の自動車大手には追い風になりそうだ」とも伝えている。

その日本でも、政府・与党が、電気自動車(EV)への課税について、車検時にかかる自動車重量税の特例加算として、2028年5月から新たに負担を求める方針を固めたという。

一方で、きょうの読売によると「政府は、EVや燃料電池車(FCV)などエコカーを購入した人への補助金を2026年1月から見直す方針を固めた」と報じている。記事によると、補助金の上限はEVが40万円増の130万円、FCVが105万円減の150万円とし、平均車両価格の2割相当に統一。日米関税交渉での合意に基づき、エコカー間の公平性を確保するとみられる。

鳴かず飛ばずのFCVの減額はともかくとして、脱炭素社会の実現に向けた“切り札”とみられるEVの普及に「ブレーキとアクセルを同時に踏み込む」(毎日)ような“アメとムチ”の税制改正では、理解に苦しむ人も少なくないだろう。

2025年12月17日付

●EV補助金40万円増、燃料電池車105万円減、来月改定方針 (読売・1面)

●EU、ガソリン車禁止撤回、35年以降も販売可能に(読売・2面)

●「ニスモ」特装車5割増へ、日産28年までに(読売・6面)

●「EV重量税」28年導入、政府・与党方針、重いほど課税額増 (朝日・3面)

●米産車「逆輸入」課題は採算、対トランプ関税「貿易不均衡」是正狙い、各社検討仕様変更必要・輸送費も大きく (朝日・6面)

●ガソリン暫定税率廃止自賠責返還、国民民主「車」に注力 (毎日・5面)

●脱炭素社会へブレーキ、EV課税強化、欧州と同じ流れか(毎日・7面)

●エコカー減税2年延長、令和8年度税制改正「年収の壁」合意至らず(産経・10面)

●ホンダ、アステモを子会社化 (産経・10面)

●米フォード、EV戦略見直しに3兆円 (産経・10面)

●リーダーズ:新発売PHV長距離に自信、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長 (東京・4面)

●同友会代表幹事に日本IBM・山口氏、たたき上げ信頼回復託す (日経・2面)

●中古車競売10%高、11月、出品少なく需要締まる (日経・22面)

《福田俊之》

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