米国のドナルド・トランプ大統領が12月3日、日本の軽自動車など、多くのアジア市場で販売されている小型車が、今後アメリカでの生産が承認されると発表した。米国の複数の媒体が取り上げているが、現地の安全基準などから「実現には大きなハードルあり」と報じる記事が多い。
たとえば『Road & Track』が「トランプ大統領のアメリカにおける軽自動車の製造・販売計画は、規制上の悪夢となるだろう」(12月4日付)で詳しく述べている。記事は、トランプ大統領の言う小型車が日本の軽自動車であるとして、「軽自動車が米国の道路を走行するには、規制上の障壁が山ほどあるからだ。現行の米国基準では、軽自動車の大半は単純に適合していない」とする。
記事は、ショーン・ダフィー運輸長官がNHTSAと協力して準備を進めていると報じる。ダフィー長官は「これらの自動車に市場があるなら、国内メーカーに製造する機会を与えたい」と言う。そして、高速道路での走行はおそらく無理だとしながら、「都市部で運転する人にとっては解決策となるかもしれない」とも言う。さらに「現在市場に出回っている選択肢よりもはるかに手頃な価格だ」とも。
小型車には市場の需要がないと指摘する報道も多い。オーストラリアの『CarExpert』もトランプ発言を「日本の軽自動車に意外な支持者がいる:ドナルド・トランプ」(12月7日付)で記事にしている。『CarExpert』もトランプの言う“TINY CAR”を日本の軽自動車としている。
シボレー・シルバラードそして「米国で最も人気のある車両は、フォード『F-150』やシボレー『シルバラード』のような大型ピックアップトラックだ。これらと軽自動車との違いは、ありすぎる」と指摘する。前出の『Road & Track』の記事も「コンパクトなサイズと低価格は、キャデラック『エスカレード』やラム『3500』が一般的な米国の自動車市場では重要視されていない」とする。
『Road & Track』はオートパシフィックのデータを引用し、コンパクトカーまたはサブコンパクトカーの購入を検討する人はいても、実際に購入する意思があるのはわずかなことを示す。「自動車業界はより手頃な価格の車両を必要としている。しかし小型化が正しい方向性かどうかは……」。
日本の軽自動車:三菱デリカミニ
なお、米国における小型車製造は、現時点での「法令変更」や「正式な認可決定」ではなく、「政権の意向・提案」「可能性」「政策検討の開始」だ。
トランプ大統領は現地時間5日、自身のSNSアカウントで、「米国での小型車製造を承認した」と発表した。現在米国上で販売されている小型車よりも、さらに小さい車になると思われる。
投稿で小型車は「TINY CARS」と表現され、一般的な「SMALL CARS」と比べて、とても小さい車、極小サイズの車で、“普通よりかなり小さい”ことを強調した表現だ。場合によっては可愛い・コンパクトすぎる・特異といったニュアンスも含む。「他国で製造が成功しているように」と言及していることから、日欧で販売中のコンパクトカーや軽自動車、マイクロカーを想定したサイズ感だろう。










