アイシンは12月1日、京都府が舞鶴港国際埠頭で実施する「グリーン水素を活用した純水素燃料電池普及に向けた実証事業」に事業全体を受託するエノアと連携して参加すると発表した。
アイシンは本実証に対し、ペロブスカイト太陽電池と新たに開発した純水素による固体酸化物形燃料電池(SOFC)を提供し、地域の防災力強化と再生可能エネルギーの活用促進に貢献する。
本実証では、既設の太陽光発電設備およびアイシンのペロブスカイト太陽電池で生み出した電気を水電解装置および周辺機器に活用し、生成された水素を水素タンクに貯蔵。貯蔵した水素をSOFCで発電し、港湾施設の照明などへの電力供給を実施する。これにより、長期貯蔵可能な水素の特徴を活かした防災用途としてのグリーン水素の製造と電力供給の有効性を実証する。運用管理は気象観測付きエネルギーマネジメントシステムを有するエノアが行う。
ペロブスカイト太陽電池は薄型・軽量・曲げられる次世代型太陽電池。建物の壁面や耐荷重制限のある屋根など従来のシリコン太陽電池設置が難しい場所にも適用可能なため、再生可能エネルギーの普及に期待されている。アイシンは20年以上にわたり有機系太陽電池の研究開発で培った発電効率の高さと、薄ガラスを用いた独自のフィルム構造による耐久性向上を目指し湾港環境での稼働検証を行う。
SOFCは水素と酸素の化学反応で発電し、発電時にCO2を排出せず高効率でクリーンなエネルギーシステムだ。アイシンは家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファームtype S」の開発・製造で培った熱マネジメント技術や燃料利用率向上技術を活用し、高効率発電・高耐久性・長期の定格連続運転の実用化検証を進める。
今回の純水素発電は10kW級で発電効率は60%以上。SOFC本体の寸法は幅1700mm×奥行780mm×高さ1800mmとなっている。





