NTTドコモは11月17日、NTT、Nokia Bell Labs.、SK Telecomと共同で、第6世代移動通信方式(6G)に向けたAIを活用した無線技術のリアルタイム送受信実証実験を実施し、世界で初めて屋外で成功したと発表した。
実証実験は神奈川県横須賀市内の3か所で実施。同じ環境下でAIを活用しない場合と比較して、スループット(通信速度)を最大100%向上し、2倍の速度で通信できることを確認した。
無線通信では電波伝搬環境の変化により通信品質が不安定になるという課題がある。ドコモはパートナー企業とともに、AIを用いて伝搬環境に応じて変調・復調方式を最適化し、無線インターフェースの送信側と受信側両方にAIを活用するAI-AI技術について、これまで屋内環境での有効性を確認してきた。
今回の実験では、遮蔽物の有無、静止状況か移動中かなど、電波伝搬環境が異なる3つの屋外試験環境で実施した。コース1は最高時速40kmで走行可能な緩やかなカーブを含む公道を移動する環境、コース2は部分的に遮蔽物が存在する環境、コース3は最高時速60kmで走行可能なほとんど遮蔽物がない道路を移動する環境で検証した。
実験の結果、どの環境においても本技術を適用することで通信品質の低下を補うことができ、通信速度が向上することを確認した。特に最も複雑な電波伝搬状況を有するコース1の環境下において、従来技術を利用した場合と比較してコース全体を通して平均で18%、最大で100%という大幅なスループット改善効果を得ることができた。
スループットが改善することで、顧客はさらに大容量の情報を高速で通信できるようになる。また通信事業者は周波数帯域あたりの無線伝送効率を向上することができるため、顧客に高品質な通信サービスを提供できるようになる。
この実験を通じて、本技術が屋内の実験環境だけでなく、さまざまな周辺環境の影響を受ける屋外環境においても有効であることが実証されたことにより、6Gで要求される高い無線伝送効率と機器の低消費電力化の実利用環境における両立に大きく近づき、本技術の実用化に向けた重要な一歩となる。
今後もドコモは多様な環境下で本技術のさらなる性能評価と最適化を進め、6Gの実装に向けた研究開発を加速するとともに、国内外の主要ベンダー、海外オペレーターと連携し、6Gの標準化・実用化に貢献していく。





