11月6日、ジャパンモビリティショー 2025 のSMASブースにてトークセッション「まちをDXするMaaS - その現在地と未来 -」が開催された。
国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課総括課長補佐の内山裕弥氏、住友三井オートサービス株式会社(SMAS)モビリティ戦略推進本部長の山田幸人氏、そしてモデレーターに株式会社Bashow 代表取締役の程塚正史氏を迎え、MaaSの現在地と今後の展望について議論が交わされた。
◆MaaS基盤「COMmmmONS」が拓く移動のDX
国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課 総括課長補佐 内山 裕弥 氏冒頭で内山氏は、国土交通省が推進する「COMmmmONS(コモンズ)」について説明した。
COMmmmONSは、地域の交通データを活用してMaaSの共通基盤を整備し、交通や移動に関する情報を共有するための取り組みである。
内山氏は、これまでの交通政策が個別の事業者支援やインフラ整備に重きを置いてきたのに対し、今後は「移動そのものをデータで結び、地域全体で最適化していくことが重要」と語った。
地域の多様な主体が同じ土台の上でデータを活用し、新たなサービスを生み出すための基盤づくりが進められているという。
◆SMASが示す「移動をサービス化する」新たな挑戦
SMAS モビリティ戦略推進本部長 山田 幸人 氏
次に山田氏は、SMASが法人向けリース・運行管理で培ったノウハウをもとに、モビリティを“サービス”として展開している現状を紹介した。
「車を保有する時代から、必要なときに必要な移動を選ぶ時代へと変化している。SMASは移動データを活かし、地域や企業とともに新しいモビリティの形をつくっていきたい」と述べた。
また、移動データの可視化が、地域の移動ニーズを正確に把握し、柔軟な交通設計を可能にすることにも触れた。同社が持つデータと運用知見を社会全体のモビリティ改善に生かす考えを示した。
◆行政×民間が描く「まちのDX」と共創のかたち
株式会社Bashow 代表取締役 程塚 正史 氏セッションでは、「まちをDXする」というテーマのもと、MaaSが地域にもたらす変化が議論された。
内山氏は、人口減少や高齢化などにより公共交通の維持が難しくなっている現状を挙げ、「デジタル技術を活用して地域交通を再構築することが、持続可能なまちづくりにつながる」と語った。
山田氏も、SMASが自治体や地域事業者と連携し、実際のデータをもとに課題解決を支援している事例を紹介。行政と民間が共にデータを活用し、現場の課題に即した解決策を検討していく重要性を強調した。
程塚氏は、モビリティの変化を社会全体のDXの一部として捉え、移動がまちの基盤としてどう発展していくのかを問いかけた。これに対し、登壇者らは、共通基盤であるCOMmmmONSを通じてプレーヤーが連携し、新しい価値を共創することの意義を語った。
内山氏は「MaaSは単なる交通の効率化ではなく、地域の生活や産業にも関わる重要な仕組み」と述べ、山田氏も「社会全体のモビリティを支える存在として、共創を進めていきたい」と締めくくった。
今回のセッションでは、行政の制度設計と民間企業の実装が交わる形で、MaaSの“現在地”と“これから”が具体的に示された。










