米国の磁石技術企業のナイロン・マグネティクス(Niron Magnetics)は、自動車大手ステランティスと協業し、希土類元素を使用しない次世代電気モーターの開発に取り組むと発表した。
この協業では、ナイロン・マグネティクスが開発した鉄窒化物磁石技術を活用する。従来の永久磁石は主に中国から調達される希土類元素に依存していたが、同社の技術は豊富に存在する鉄と大気中の窒素を原料とするため、外国に支配されたサプライチェーンへの依存を軽減できる。
プロジェクトには米エネルギー省先端材料製造技術局が270万ドルを支援。エネルギー自立強化と重要材料確保戦略の一環として位置づけられている。
永久磁石は音響システムからパワーステアリング、流体ポンプ、パワートレインまで、車両の数十のシステムで重要な役割を果たしている。内燃機関、ハイブリッド、電気自動車を含む幅広いパワートレインで不可欠な部品となっている。
ステランティスのプロパルション・システム・エンジニアリング担当上級副社長のミッキー・ブライ氏は「この革新的な磁石技術の可能性を探ることで、将来のモビリティ選択肢を支援し、顧客の選択肢を拡大できる」と述べた。
ナイロン・マグネティクスのジョナサン・ローントリーCEOは「希土類フリーの鉄窒化物への切り替えにより、業界のより強靭な基盤構築とモーター性能の可能性拡大を目指している」と語った。
同社は今回、ミネソタ州サーテルに初の商業規模製造施設の建設を開始。フル稼働時には北米最大級の磁石生産施設となり、年間1500トンの磁石を生産し、175人のフルタイム雇用を創出する予定だ。