タイヤ空気圧は“乾燥空気”が正解? 窒素充填とドライエアの実力をプロ目線で解説~カスタムHOW TO~

タイヤ空気圧は“乾燥空気”が正解? 窒素充填とドライエアの実力をプロ目線で解説~カスタムHOW TO~
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チューニングは改造するだけでなく、ハンドリングを変えるために調整することも指す。そこで今回のテーマはタイヤとその空気である。

タイヤの空気圧は最も手軽にチューニングできる部分。空気圧を高めればステアリング操作に対してクルマは軽快に反応し、逆に空気圧を落とせば接地面が増え、タイヤのグリップを高めて路面をしっかりと捉えてくれる。

◆空気圧と窒素充填:効果よりも“乾燥空気”が肝心

そんなハンドリングを大きく変える空気圧だが、そこに窒素を充填するサービスもある。これは昔からその効果の是非が問われてきていて、諸説あるのも事実。効果があるという人もいれば、効かないという人もいる。どちらが正解とここでは言い切れないが、間違いなく言えるのは、窒素にしろ空気にしろ、乾燥した空気を充填したいということだ。

空気中には水分が含まれており、その水分は温度が上昇すると爆発的に体積が増える。つまり乾いた空気より湿った空気の方が、タイヤに充填して使ったときに、温度変化によって空気圧が上がるということ。空気圧が上がると乗り心地が硬く感じられることもあるので、好ましい状況ではない。

レースの世界でも同じ。走り出したら空気圧調整はできないため、できるだけ空気圧は上がらない方が狙っている数値に近づきやすい。そこでドライエアと呼ばれるものを充填している。これは専用の乾燥機を通して乾いた空気を充填するか、もしくはボンベから窒素を充填する仕方だ。空気よりも窒素にしたいというよりは、湿度の低い空気を充填しているイメージだ。

◆プロショップのこだわり
充填空気と作業品質は『どこでも同じ』ではない

タイヤプロショップでは充填する空気を乾燥機を通したものを使っていたり、ボンベの窒素を使うこともある。そういう点で、どこでタイヤを組んでも同じではない。やはりプロには、プロならではのこだわりがあり、その恩恵があるのだ。

あとは気をつけたいのはエアゲージである。エアゲージは実は公差が大きい。プラスマイナス0.1kg/cm2くらいは平気でゲージによって異なる。これはAのゲージでは2.0kg/cm2だが、Bのゲージでは1.8kg/cm2と表示されるということ。それでもその程度の数値は公差内とされるものなので、自分で正しいエアゲージを持つようにしてもらいたい。

きちんと公差を確認しているプロショップでタイヤに空気を入れてもらったときに、すぐに自分のゲージで確認。そこでどれだけ差があるか確認するのだ。プロでも「このゲージは常に0.1kg/cm2低く表示されるので、いつも0.1kg/cm2多めに入れよう」とゲージの公差を認識したうえで使っていることも多い。

◆スタンディングウェーブを防ぐ
空気圧管理と“私のゲージ”のすすめ

実際ガソリンスタンドの空気入れで2.2kg/cm2入れたが、公差がないと確認している自分のゲージで測ったら2.0kg/cm2も入っていなかったこともある。

とくに、空気圧が思っているよりも低いまま高速道路を走るのは好ましくない。スタンディングウェーブ現象が起きてタイヤが波打ち破壊されバーストしてしまう。大型連休などで高速道路でバーストしている車が増えるのは、空気圧が不足したまま走行しスタンディングウェーブ現象が起きてしまっていることが多い。

実際よりも空気圧が低いとそういった怖さもあるので、自分のマイゲージを持ち、その公差を確認しておくようにしてもらいたい。ちなみに筆者の経験では、やはり1万円以上するようなエアゲージはほとんど公差がない。それでも10年以上も使用したら狂ってきたことはあるので、ある程度で買い替えは必要。数千円レベルのゲージでも意外とちゃんと数値を示すものも多い。しかし、やはり少し大きめの公差があるものも安いゲージでは増えてくる。すなわち、必ずしも高いものでなければダメではなく、安いものでもきちんとしたものもあるので、必ず数値を確認してからエアゲージを使うようにしてもらいたい。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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