天気の良い週末、クルマを洗車してお出かけするには絶好と考える読者もいるだろう。しかし夏の洗車は要注意、炎天下の直射日光はボディに深刻なダメージを与えることもあることを覚えておこう。
天気が良いと気持ちも盛り上がって「クルマを洗ってドライブに出かけてみよう」といったモチベーションになることもある。しかし夏場の炎天下での洗車はボディに対してダメージを与える可能性があるので要注意。水を使った洗車が心地良いからといって、水遊び感覚で洗車を実施するのはおすすめできない。
◆夏の炎天下で洗車してはいけない理由
では、なぜ炎天下の洗車が要注意なのだろう? その理由のひとつがシャンプーなどがボディに焼き付いてシミになってしまうからだ。
ボディは直射日光を受けることで想像以上に高熱になっている、実際に指で触ってみると熱を感じるほどの高い温度になっていることがわかる。水洗いすることである程度は冷えるのだが、炎天下だとすぐにボディの温度は上昇してしまう。そこにシャンプーを実施するとシャンプーが付いた部分が瞬く間に乾いてしまう。そのまま放置すると最悪の場合は乾燥したシャンプーがボディに焼き付いてしまうことがあるのだ。さらに目立たない場所で水洗いも十分でなく放置されてしまうとシミの原因にもなるので要注意だ。
そこで、まずは洗車方法で焼き付きを防ぐ工夫をしてみよう。まずは炎天下での洗車は避ける、早朝や曇天で太陽が出ていない時間帯やタイミングを選んで洗車するのが良いだろう。しかし洗車を中心に一日のスケジュールを決めているわけでも無いので難しいという読者も多いだろう。そこでパートに分けた洗車を実践してみると良いだろう。具体的には一度に広い範囲を洗うのではなく、天井、ボンネット、左フェンダーなど区切られたパネルごとに小さく分割して洗っていく方法だ。これだとシャンプーが乾いてしまう前に洗浄~すすぎがスピーディに行えるからシミが発生しにくくなるからだ。
◆シミ・焼き付きを防ぐ正しい洗車テクニック
しかし、すでに焼き付きによるシミが発生してしまったケースにはどうして対処すれば良いのだろう。シミが発生した部分をゴシゴシこすってもなかなか落ちてくれないので、ちょっとした工夫でクリアしよう。
その方法はクルマを日陰の状態に置いてボディを十分に冷やす、さらにシミになっている部分を水とシャンプーをかけてふやかすようにしてみよう。その上でもう一度洗い流せば焼き付いたシャンプーを落とすことができる。この程度なら大丈夫だろうと放置せず、シャンプー時のシミ処理は速めに実施しておこう。
さらに、状態が悪化していてシミが上記の方法では除去できない場合はコンパウンドを使った磨きが必要になる。コンパウンドには極細目を用意してボディへのダメージを最小限にしよう。シミになっている部分を状態を見ながら磨き上げていけば、ボディ本来の艶が蘇ってくる。あまり深追いしてクリア層や塗装面を深く削ってしまわないよう、あくまでも必要最小限に抑えておこう。仕上げにはもちろんワックス処理をしてプロテクトしておこう。
ところで、シャンプーの焼き付きは工夫次第でリカバリーができるのだが、要注意なのはガラス撥水剤だ。ガラス撥水剤を施工する際にボディには絶対に掛からないようにしておこう。万が一ボディに付着した際にはすぐに水で洗い流す。そのまま放置するとボディがシミになってしまい、上記の方法で洗ったり磨いても落ちないがんこなシミになることが多い。洗車のプロがガラス撥水剤を施工する時には、ボディをマスキングして保護することもあるほどシビアなので、施工時には十分に気をつけよう。
◆夏洗車は“知識と工夫”が愛車を守るカギ
夏場の洗車は思わぬ落とし穴がある、せっかく愛車をきれいにしようと思ったのにむしろダメージを与えてしまうことの無いように、洗車のタイミングや洗車方法を工夫して実施するようにしよう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。