幕末の事件でその地名を記憶している人もいるだろう。横浜市鶴見区の生麦にも低いガードがある。生麦駅前通りと交差するJR貨物線の下の「生麦ガード」が、制限高さ1.9mと低い。
ミドルクラスのミニバンだと、トヨタ『ノア』は2WDが1895mmなのでギリギリ、1925mmの4WDは制限オーバー。日産『セレナ』が全高1870~1895mm、ホンダ『ステップワゴン』は余裕が増えて1840~1855mmとなっている。
生麦駅前通りは北西(山側)から南東(海側)への一方通行だ。京浜急行の生麦駅付近では京浜急行とJRが接近しており、生麦駅前通りは5組の複線を、三つの踏切とひとつのガードで横切る。生麦ガードは連続する踏切の途中に位置しているのだ。
山側の国道1号・第二京浜からのアプローチは、下り線からは岸谷交差点を左折、上り線からは岸谷2丁目交差点を右折して、生麦駅入口をめざす。海側の国道15号・第一京浜からのアプローチは、滝坂踏切入口交差点を折れて、踏切を渡った先を右折、生麦駅前通りをめざす。東京、川崎方面からは生麦駅前通りとの交差点をいちど通り過ぎて、南西からまわり込むかたちになる。
一連の踏切同士の間隔は小さいので、1台が渡り切るまで2台目は進入禁止だ。また「駅前通り」とは言うものの幅の狭い生活道路なので、駐車する場所は選びたい。公共交通機関だと生麦下車、すぐ。JRだと京浜東北線の鶴見~新子安間で、至近に駅はない。

ここのガードも線路が地平と高架とをつなぐ勾配の途中にある。ガードの南西350mほどで貨物線は京浜急行をオーバークロスして南へ向かうのだ。地平になる北西側では地下区間との分岐・合流があり、さらにその先で鶴見線をアンダーパスしているので、現状からの高架化は難しい。現地の標識によると貨物線は「高島線」と言う線名を持つ。
生麦駅前通りは、明治時代の地図にも記されている古い道筋だ。海岸沿いの旧東海道と台地の上とを結ぶ、地域内では重要な道だったようだ。大正時代に貨物線ができて、先に開通していた京浜急行をオーバークロスするためにガードが作られた。北東側での分岐やアンダーパスはその時点でなかったので、ガードを高くすることは可能だったはずだが、大型車両が道路を往来することのなかった時代、オーバークロスの工事区間を短くするためにガード高さを低くしたのだろう。
現代の生麦にはキリンビール横浜工場があり見学できる。当然のことながらドライバーは試飲できない。ちなみにビールの原料は二条大麦だ。日産自動車の横浜工場とエンジンミュージアムも近い。なお見学は、施設工事のために2025年9月1日以降、当面中止となる。さらにマツダのR&Dセンターも車での移動なら遠くはない。こちらは一般公開されていない施設で、イベント開催時に入れることがある。
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日産セレナまでなら通れる、制限高さ1.9mの古くて低いガード…JR・浜松町~田町
https://response.jp/article/2025/04/20/394716.html