BMWモトラッドの新時代到来!? 日本初公開続々、「在庫から買える」新システムも…東京モーターサイクルショー2025

BMW M1000 RR(東京モーターサイクルショー2025)
  • BMW M1000 RR(東京モーターサイクルショー2025)
  • BMW S1000 RR(東京モーターサイクルショー2025)
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BMWモトラッドは、3月28日に開幕した「東京モーターサイクルショー2025」において、ブースを出展。ニューモデルの展示の他、レーシングライダーのトークセッションやモデルとのフォトセッションなど、さまざまなイベントが企画された。

28日の開場早々、他のメーカーに先んじてプレスカンファレンスを行ったのが、BMWモトラッドだ。そこでは、同日よりオーダーの受付が始まった『M1000RR』(430万円~)や『M1000R』(277万7000円~)、『S1000R』(198万9000円~)といった最新モデルの価格を発表。また、同日深夜にドイツ本国で公開されたばかりの『R12 G/S』のニュースに加え、2025年第3四半期(7月~9月)に国内導入予定であることも明かされた。

◆80年代ラリースタイルを継承した『R12 G/S』、軽量アドベンチャー『コンセプトF 450 GS』

BMW『R12 G/S』BMW『R12 G/S』

「R12 G/S」の展示はさすがに間に合わず、スクリーンのみでの紹介だったが、80年代のラリーバイクをモチーフにしたスタイリングへの評価は上々だった。

といっても、デザイン優先のネオクラシックではなく、フロントに21インチ、リアに17インチ(18インチ化も可能)を組み合わせたホイール径によって、オフロードでの走破性を確保。車重229kg、シート高860mm(スペックはいずれも本国仕様)と聞けば躊躇するユーザーもいるだろうが、ダート上でみせるフラットツインならでは安定感を知るライダーにとっては、空油冷エンジンを搭載したシンプルな「GS」への回帰として、広く歓迎されそうだ。

BMW コンセプト F 450 GS(東京モーターサイクルショー2025)BMW コンセプト F 450 GS(東京モーターサイクルショー2025)

もっとも、「それでもフラットツインのGSは手に余る」というユーザーにとっての朗報が、今回のショーのために本国から急遽運ばれた『コンセプト F 450 GS』の存在だ。

450cc(正確な排気量は未発表)の並列2気筒エンジンをスチールパイプフレームに懸架し、48psの最高出力と約175kgの車重を公称。足まわりには、フロント19インチ/リア17インチのクロススポークホイール(アルミホイール仕様もあり)を装備する。この手のモデルとしては、軽量コンパクトと表現して差し支えなく、ビッグアドベンチャーは敬遠しつつも、単気筒エンジンでは物足りなかった層への訴求力が高い。名称の通り、コンセプト段階とはいえ、2025年中に正式発表されることが決まっており、日本への導入もそれほどタイムラグなく行われそうだ。

◆圧倒的存在感の『R20コンセプト』も登場

BMW R20 コンセプト(東京モーターサイクルショー2025)BMW R20 コンセプト(東京モーターサイクルショー2025)

そしてもう一台、「コンセプト F 450 GS」とは真逆とも言えるモデルも持ち込まれた。それが昨年の「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2024」(イタリアで開催される欧州を代表する自動車コンクール)において世界初披露された『R20コンセプト』だ。

こちらは、2000ccの空油冷フラットツインを搭載したバガースタイルのロードスターで、圧倒的な存在感を放つエンジンをクロムモリブデン鋼のダブルループフレームに搭載。そこにアルミ燃料タンク、アルカンターラとレザーで覆われたシングルシート、オーリンズのフルアジャスタブルサスペンション(フロント/リア)、ISRの6ピストンキャリパー(フロント)と4ピストンキャリパー(リア)、クロムモリブデン鋼とアルミで構成されたスイングアーム、ワイヤスポークホイール(フロント)とディスクホイール(リア)といったコンポーネントが加えられている。

BMWモトラッドのデザイナーであるアレクサンダー・バカン氏は、「R20コンセプトは、我々のDNAを大胆に解釈したものであり、現代の技術とクラシックなロードスターのデザインを融合。巨大さとミニマルさを併せ持つプロポーションの美学が、他にない個性を生み出しています」と説明する。

BMW R20 コンセプト(東京モーターサイクルショー2025)BMW R20 コンセプト(東京モーターサイクルショー2025)

こちらもコンセプトの名がつくが、かつてのモデルがそうであったように、そう遠くない将来に、これを起点にした量産モデルを発表、そして販売開始といった流れを期待してよさそうだ。

ふた昔ほど前までは、「ベテランが選ぶ、あがりのツアラー」といったイメージが色濃かったBMWのバイクだが、特に近年は排気量の大小や気筒数の多少、あるいは内燃機関か電動かにもこだわることなく、あらゆるセグメントに進出。モデルのバリエーションは多岐に渡り、それに伴ってユーザー層も明らかに厚みを増している。

◆「在庫から買える」新システム『ストックロケーター』

BMWモトラッド(東京モーターサイクルショー2025)BMWモトラッド(東京モーターサイクルショー2025)

そんなBMWモトラッドの日本市場を率いるジェネラルマネージャー大隅武さんに、日本市場での戦略を聞いた。

----:大隅さんが現職に就かれて数か月が経過しました。新たな取り組みがあれば、教えてください。

大隅:今年からセールスのスタイルを見直し、「STOCK LOCATOR」(ストックロケーター)というシステムを使う方法に切り換えています。

----:それはどういったものでしょうか?

大隅:お客様がスマホやPCを通じて、日本国内にある新車在庫の中から要望に添ったモデルを見つけて頂けるシステムです。

----:どういったメリットがありますか?

大隅:これまでの方法だと、ディーラー毎に車両をオーダーし、それを在庫してもらっていました。すると、たとえばお客様が東京にお住まいなのに、北海道にしか希望の色やグレードがない、といったミスマッチがあったわけです。

----:それでも購入となった場合、ディーラーにとってもユーザーにとっても手間や無駄が発生するというわけですね。

BMW R12 nine T(東京モーターサイクルショー2025)BMW R12 nine T(東京モーターサイクルショー2025)

大隅:そうです。それを解消するのがストックロケーターで、新車在庫を私どもが一括管理し、その中からお客様がモデルを選択。希望のディーラーへデリバリーしてお届けするという効率的な流れを作ることができます。

----:メーカー問わず、2輪も4輪も納車期間が読みづらい昨今ですが、ストックロケーターにはその目安も記載されていて分かりやすいですね。

大隅:これによるディーラーにとってのメリットは、新車を在庫する必要がなくなった代わりに試乗車を潤沢に用意できること。そしてお客様にとっては、まず興味のあるモデルをご体感頂けたり、多数ある試乗車の中から好みの一台に出会って頂けることですね。

----:なるほど。他に新たな施策はありますか?

大隅:試乗と同様、やはりバイクはお客様それぞれの体験を大切すべき趣味です。そのため、たとえば「GSトロフィー」の国内予選会の開催、今年で20回目を迎える「BMWモトラッド・デイズ・ジャパン」のさらなる充実、お台場で開催されていた「ナイトライダー・ミーティング」の復活の他、オンロードやオフロードの走行会イベントも企画しています。

BMW M1000 RR レーシング(東京モーターサイクルショー2025)BMW M1000 RR レーシング(東京モーターサイクルショー2025)

----:オンロードといえば、「オートレース宇部Racing Team」が全日本ロードレースや鈴鹿8耐で走らせるワークススペックのM1000RRも話題ですね。

大隅:レースに関しては、弊社が直接関わる部分ではないのですが、モータースポーツファンへのPRなど、コミュニケーションの面でお手伝いしていきたいと考えています。

----:モデルラインナップとイベントのさらなる充実を今後も楽しみにしています。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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