◆正体不明を装うが即身バレ!?
「大阪モーターサイクルショー2025」のヤマハブースのど真ん中に、正体不明のオフロードモデルが展示されていたことで、来場者やSNSでざわついている。
ニューモデルが華々しくディスプレイされている中、ステップやペダル類に傷がつきダートを乗り込んだ形跡があり、フェンダーの裏を覗き込めばマッドガードに泥まで付着しているのだ。

説明はおろか、車名を掲げるボードすらない。ナンバープレートには「オフロードカスタマイズコンセプト」とあるが、コアなバイクファンなら知っている!
エンジンの打刻やコーションラベルを探すが隠されているが、インドネシアなどASEANで販売されている『WR155R』と見て間違いない。
◆フルサイズオフを待っている!
ヤマハも熱視線を浴びることを百も承知だ。“Adventure&Touring”と記されたボードを背景に、ウッドチップの台座を用意し、目立たせている。ノーマルでは標準装備していないはずのハンドガードを備えているところも心憎い。
排気量は小さいながらも「WR155R」は、フロント21/リヤ18インチの足回りを持つフルサイズオフローダーだ。

スチール製セミダブルクレードルフレームに、ボア・ストロークを58×58.7mmとして排気量を155ccとする水冷4サイクルSOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載。可変バルブ機構を採用し、全域で扱いやすくトルクフルな出力特性としている。最高出力12.3kW(16.7ps)/10,000rpm、最大トルク14.3Nm(1.46kg-m)/6,500rpmのスペックは十分だ。
フロントフォークのインナーチューブ径は41mmで、前輪ブレーキはNISSIN製2ピストンキャリパーと240mmウェーブディスクローターの組み合わせ。黄色いスプリングのリヤショックはボトムリンク式で、角断面スチール鋼管製のスイングアームなど、足まわりの装備内容も本格派と言える。最低地上高245mmを確保し、シート高は880mm。車体重量は134kgでしかない。
◆TWブーム火付け役が仕掛け人!!

ヤマハの国内ラインナップは『セロー250ファイナルエディション』を2020年1月に発売したのを最後に、ナンバー付きオフローダーが絶滅してしまった。セローの生産中止は数多くのユーザーから惜しまれ、そしてまたヤマハオフロードファンは新型の登場を心待ちにしている。
1967年の「DT-1」以来、ヤマハはオフロードで名を馳せたメーカーであるものの、現在ではホンダ『CRF250L』やカワサキ『KLX230S』らがそのセグメントを牽引していて、このまま黙っているわけにはいかない。そんな中、今回の展示はヤマハのサプライズであり、ファンへの回答なのかもしれない。
仕掛け人は新社長だ。キムタクがTVドラマでも乗った『TW200』のカスタムがストリートに溢れかえった“ティーダバー”ブームの火付け役、設楽元文(したら・もとふみ)氏が就任したことを発表したヤマハ発動機2月の決算説明会では、「誰にも負けない熱烈なヤマハファン」だと会長兼社長の渡部克明氏に紹介された人物である。

そこで新たな方針として明かされたのが「ASEANを中心にプレミアム領域でのシェアを拡大し、より高収益を目指していく」という説明だった。さすがは筋金入りのヤマハ好きだ。話がわかる。
そこに、国内ラインナップに不足していたフルサイズオフローダーが含まれることをオフロードファンらは心から願い、期待していたのだ。間違いない「WR155R」がやってくるぞ!!
◆原2オフも見えてきた!!

さらにもっと言おう。すでに国内で発売されている『NMAX155』や『YZF-R15』それぞれに125ccモデルが存在するように「WR125R」の登場も見えてくるではないか。
今回の展示車を前にしてヤマハ担当者にネチネチ話を聞くが、「WR155R」そして「WR125R」いずれも日本導入に関してはノーコメントを貫く。
しかし、こうして日本のモーターサイクルショーについに車両展示。期待せずにはいられないのだ。