日産とホンダが経営統合に向けて検討開始---2025年1月末をめどに結論、共同持ち株会社を設立へ

向かって左から日産自動車の内田社長、ホンダの三部社長、三菱自動車の加藤社長(12月23日)
  • 向かって左から日産自動車の内田社長、ホンダの三部社長、三菱自動車の加藤社長(12月23日)
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  • ホンダの青山本社
  • 日産自動車グローバル本社

日産自動車本田技研工業(ホンダ)は、両社の経営統合に向けた協議・検討を開始することについて合意し、共同持株会社設立による経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結した。両社が12月23日、発表した。日産とホンダが持ち株会社の子会社として存続する方向。

2025年1月末をめどに経営統合の可能性について方向性を見出すべく、両社で検討を進めていく。また日産自動車が大手株主である三菱自動車も、この日産とホンダの統合に参画するか、検討を開始する。こちらも2025年1月末をめどに結論を出す。3社は12月23日、東京都内で会見を開いた。


◆変革のために統合

日産自動車とホンダは2024年3月15日に自動車の知能化・電動化時代に向けた戦略的パートナーシップに関する覚書を締結し、さまざまな領域での協業を見据えた具体的な協議・検討を行なってきた。2024年8月1日には戦略的パートナーシップの深化に関する覚書を締結し、特に知能化・電動化の要となる、次世代ソフトウェアデファインドビークル(SDV)向けプラットフォームの領域において、より具体的な協業に向けて集中的に議論を進めてきた。

その間においても、両社および自動車業界を取り巻く環境は変化を遂げており、必要とされる技術革新のスピードも加速し続けている。本田技研工業の三部敏宏取締役代表執行役社長は「このような環境下でも競争力を保ち、魅力的な商品・サービスを市場に届け、存在を期待される企業であり続けるためには、大胆な変革が必要だ。変化の実現のためには両社の経営統合が合理的な選択肢だ」として、統合に向けた協議・検討を開始することで基本的合意に至った。

◆5年後、10年後に『よかったね』

さらにホンダの三部社長は「自動車業界が直面する厳しい環境変化を乗り越えていくには、ホンダと日産自動車が長年培ってきた、知見・人財・技術などの経営資源の融合による、モビリティの新たな価値創造が必要だと考える。唯一無二の“モビリティの新価値を創造するリーディングカンパニー”となることをめざす」と語る。

日産自動車取締役代表執行役社長兼最高経営責任者の内田誠氏も「この2社でしか生み出すことのできない、新たな価値を提供できる」と述べる。「以前の想定を上回るスピードで状況は変化している。協業を進める中で、ホンダも同じ思いだとの感を強くしていった。スケールメリットはこれまで以上に重要になっている。5年後、10年後に『よかったね』と言ってもらいたい」。

◆ホンダによる日産の救済ではない

会社形態の方向性としては、日産とホンダが共同で持ち株会社を設立し、両社を共同持ち株会社の完全子会社として存続させるとともに、それぞれのブランドを共存させる方向で検討する。経営統合が実現した場合、全体で売上高30兆円、営業利益3兆円を超える世界トップレベルのモビリティカンパニーをめざす。ホンダの三部社長は「当初は、取締役の過半数をホンダが指名し、代表取締役もホンダが指名する。ホンダの時価総額が大きいという単純な理由」と言う。

今後の両社は、経営統合の円滑な実現に向けて統合準備委員会を設置し、協議を集中的に行なっていく。ホンダの三部社長は「今回の発表は、まだ検討を開始する段階であり、経営統合を決定したわけではない。ホンダによる日産の救済とする向きもあるが、独自の強みを持つ2社の化学反応が期待されている。自立した2社でなければ統合は成就しないと考える」とする。

両社の経営統合が実現すれば、お互いが有する知見や人財、技術などの経営資源を融合し、より深いレベルでのシナジーの創出が可能となり、市場環境の変化への対応力を高めるとともに、中長期的に企業価値の向上が期待できる。また、日産自動車とホンダの四輪事業、さらにホンダの二輪・パワープロダクツ事業の融合による、“モビリティの新価値を創造するリーディングカンパニー”として、革新的な商品・サービスを提供することが可能となる。

本経営統合のスケジュール
取締役会決議日:2024年12月23日
基本合意書締結日:2024年12月23日
最終契約書(株式移転計画含む)締結日:2025年6月
両社臨時株主総会開催日(本株式移転の承認決議):2026年4月
東京証券取引所上場廃止日:2026年7月末~8月(予定)
本株式移転の効力発生日:2026年8月(予定)


《高木啓》

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