自動車業界激変に備えよ、シーメンス流自動車DXとは?…カイゼンからイノベーションへ[インタビュー]

自動車業界激変に備えよ:シーメンス流自動車DXとは?…カイゼンからイノベーションへ[インタビュー]
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来たる12月17日、オンラインセミナー「EU・シーメンスに学ぶ自動車業界のDX成功の鍵とチャレンジ」が開催される。セミナーに登壇するのは、シーメンス株式会社 産業営業統括部 兼 医薬産業事業統括部 統括部長 濱地康成 氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.シーメンスとは? Industry 4.0の本質そして、Industry 5.0へ
2.日本と世界の差の広がり? WEF視点で考えるモノづくり大国日本の現実
3.日本のモノづくりと世界のモノづくりの違い
4.Green smart factory を創る上で理解すべき、KPI 世界の動向を踏まえて
5.Siemens Erlangen工場・Amberg 工場における具体的な取組み
6.まとめ
7.対談・質疑応答

講演の後には、スズキマンジ事務所 代表 鈴木万治氏との対談や参加者からの質疑応答の時間が用意されている。


いま自動車業界に求められているのは、予測不能な変革の波をどうとらえて、どう対応したらいいのかだろう。この点について、シーメンスでスマート工場などデジタルインダストリーに詳しい濱地康成氏(産業営業統括部 兼 医薬産業事業統括部 統括部長)に話を聞く機会を得た。

日本の製造業、とくに自動車業界に必要な意識改革はなんなのか。スズキマンジ事務所 代表 鈴木万治氏のアドバイスをもとにまとめてみたい。

先が読めない時代に必要な変革意識

自動車業界の100年に一度と言われる変革。変化はリニアなものではなかった。22年の急速なEV化があったと思えば24年には早くも踊り場を迎える。状況はアップダウンを繰り返すまさにジェットコースターのような急展開だ。

だが、経済の世界では、これで元のさやに納まり大団円とはならない。EV減速というが、BYD、テスラが成功している事実をみると、既存OEM勢がEV化に失敗しているだけという見方も成り立つ。保護貿易・アメリカファーストを謳うトランプ政権が日本製造業の福音になるとも思えない。

またSDVや自動運転といったトレンドは、業界のソフトウェアシフトを強く迫っている。台頭する中国勢に迎え撃つため、さらなる競争力をつけるには、業界のものづくりからサプライチェーン構造、ひいては販売エコシステムさえ変える必要がある。次の5年はさらなる変革の嵐が待っていると見た方がよい。

いずれにせよ、業界もいまのままではダメだという認識があるからこそ、モーターショーのテコ入れを行い、トヨタや日産がエネルギー事業や電池開発に投資し、サーキュラーエコノミーにも取り組んでいるわけだ。

先人たちの教えの延長にあるDX

今の業界動向について、各論や身近な現象だけ見ていると、SDV、ソフトウェアシフト、電気、水素、合成燃料と要素が多く、方向性や戦略が見えにくいかもしれない。このような場合「巨人の肩の上に立つ」というアプローチがある。元の意味は、先陣の知見や発見の積み重ねによって将来が見える、というニュアンスの言葉だ。

産業の変革を過去の積み重ねとしてとらえた概念に第四次産業革命(4IR)やIndutory4.0という考え方がある。手法としてはDX(デジタルトランスフォーメーション)、現象としてはデジタルツインまたはサイバーフィジカルシステムといった言葉で説明することもできる。

濱地氏は「あらためて製造業のDXという視点で変革期を考えてほしい」という。DXならうちでもやってる。でもなにをやっているのかわからない。成果が見えない。といった声も聞こえてきそうだが、成果がでないのはやり方が間違っている可能性はないだろうか。

自動化の先にある知能化(インテリジェンス)

DXとはたんにプロセスをコンピュータ化するのではない。とはよく言われているが、ではなにをすればいいのか。具体的に掘り下げた議論はあまり重要視されることはない。濱地氏は

「シーメンスでは製造業におけるデジタル化、もっというと工場に求めるコンセプトを段階的に考えている。まず、システムやプロセスにPCを導入する。それらをネットワークなりで連携(接続)する。この段階で自動化が達成できる。」(濱地氏:以下同)

という。自動化までは多くの企業が長年取り組んでいるところだろう。だが、ここで止まってしまう、あるいは方向性を間違えてしまうと、デジタル化、DXの取り組みがとん挫するという。重要なのは自動化の先にある知能化(インテリジェンス)だ。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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