来たる9月24日、オンラインセミナー「車載電装デバイス&コンポーネンツ市場~2030年代までのロードマップ~」が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社富士キメラ総研 第一部 担当課長の佐藤弘明氏。
佐藤氏は、2002年に富士キメラ総研に入社し、車載デバイス・ITS関連の調査を主に担当。2008年以降は、「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査」市場調査資料のマネージャーとして調査を担当している。
今回のセミナーは以下のテーマで進められる。
1.車載電装デバイス&コンポーネンツ全体俯瞰
2.EV化とマルチパーパス化が進む電動戦略
3.高度化が進む自動運転のトレンド
4.電動化と自動運転を支えるコネクテッド開発動向
5.質疑応答
講演の後には、参加者からの質疑応答の時間が用意されている。
セミナーの見どころを佐藤氏に聞いた。
車載電装品市場はxEVと自動運転がトレンド
2016年、メルセデスベンツが唱えたCASE車両は、バッテリー、eアクスル、統合ECU、熱マネジメントといった技術トレンドを生んだ。2023年に入ると、レベル4以上の自動運転やSDVに注目が集まった。要素技術からアプリケーションに市場がシフトしていることを示している。
CASE2.0とも呼べる近年の状況においても、個々のデバイスやコンポーネントの技術は変わるのか。サプライヤーは市場の変化をどう読めばいいのだろうか。富士キメラ総研 第一部 担当課長として、長年にわたり車載電装品の周辺市場を調査している佐藤弘明氏に、現在の市場動向や今後の見通しなどを聞いた。
---:さっそくですが、現在の車載電装品の市場動向はどのように分析されているのでしょうか。
佐藤弘明氏(以下敬称略):まずトレンドでいうと、いわゆるxEVと自動運転がらみの技術や市場が伸びています。xEVとしたのは、BEV、PHEV、HEVに関連するシステムやコンポーネンツを含むからです。また、自動運転の領域では各種センサー技術や通信技術が成長分野といえます。これらの市場はおそらく2035年にかけて拡大が続くと思います。

我々の調査では、2022年から35年にかけて、車載電装システムの市場規模は6.8%(CAGR)の割合で増えていくと見込んでいます。パワートレインやボディ関連のシステムも全体にひっぱられる形で少しずつ伸びていきますが、インバーター、バッテリー管理システムやオンボードチャージャー、熱マネジメントシステムなど電動車(xEV)関連の技術と、走行安全にかかわる制御機構・制御システムは成長を続ける分野とみています。
---:xEVと自動運転について、具体的にはどんなデバイスやどんなビジネスが考えられますか?
佐藤:xEVについてはEV化に加えてマルチパーパス化がトレンドといえます。2022年、23年は中国や欧州において、BEVの市場が急伸しました。しかし24年に入ると若干動きが変わってきました。EVはトーンダウンしHEVやPHEVが伸びている形があります。
その背景理由はいくつか考えられますが、ひとつはコロナ禍明けの消費や生産が回復したことがあります。中国や欧州では、裕福層やアーリーアダプターのBEV需要が一段落しました。コロナ明けによる一般・大衆層の消費回復がHEVやPHEVに向かったと考えられます。電動化は、EV中心からマルチパーパス化になったといえます。
xEV及び自動運転に関するサプライヤー動向の変化
---:それに関連してサプライヤーの部品やコンポーネンツの市場や需要について変化はあるのでしょうか。