新型SUVとしてホンダが3月に発売を予定している『WR-V』。コンパクトなサイズや手ごろな価格設定で発売前から多くのユーザーが気になる存在になっているモデルだ。そんなWR-Vをもっと快適に使い倒すための提案を、ホンダアクセスが実施したので取材に出かけた。
◆ホンダ車のSUVで最大クラスの荷室を備えるWR-Vを生かした車中泊
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取材会場で用意されていたのは上級グレードの「Z+」とスタンダードグレードの「X」をベースにしたオプション装着車両2台。編集部が真っ先に目を付けたのは「X」だった。こちらは車中泊・カメラ旅バージョンと名付けられた仕様。
といっても“ホンダアクセスのパーツを満載して車中泊をもっと快適にしましょう“的なコンセプトじゃないところが、意外といえば意外。アフターパーツによるカスタマイズだけでなく、WR-Vの素性の良さをアピールするのが狙いだ。
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まずは車内を見るとそのネーミングの通りラゲッジにはカメラ機材が置かれ、後席は畳まれてシュラフを広げた車中泊状態。想定シーンとしては撮影ポイントに深夜~夜明け前に到着してWR-Vの車内で仮眠、狙った時間に起き出して朝焼けなどのシャッターチャンスを逃さないといったところだろうか。
そもそもWR-Vはコンパクトな車体だがホンダのSUVの中でも最大容量の荷室容積(458L)を持ち、レジャーギアや車中泊グッズを大量に載せて出かけることが可能なのが魅力だ。さらにリアシートは6:4分割で折りたたみ可能で、折りたたみ時には前席のシートバックからラゲッジ後端までの荷室長を2181mmも確保できる。それだけにカメラ旅の機材と車中泊の装備をまるっと積み込める。
しかしWR-Vのちょっとしたウィークポイントは、リアシートがダイブダウンしないこと。そのため荷室と後席のシートバックにわずかな段差かできてしまいフラットなフロアにはならない。そこでホンダアクセスが提案したのはコンテナボックス(無印良品の市販品)を使うアイデア。
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なんとコンテナボックスのフタがちょうどラゲッジフロアと折り畳んだ後席の段差を埋めるのに最適な高さで、置くだけで簡単にフラットフロアを作り出すことができるのだ。これなら身長180cmオーバーのユーザーでもフラットなフロアの上で足を伸ばしてラクラク就寝可能だ。
カメラ旅のみならず車中泊、釣りなども目的にして車中泊を想定してWR-Vを手に入れるユーザーには願っても無い使用方法になるこのアイデア。大容量の荷室をうまく利用して、快適なレジャービークルとしてWR-Vを使いこなすには積極的に取り入れたいところ。
◆車中泊だけじゃない!タフなスタイルにグレードアップする純正アクセサリー群
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さらにこのクルマに込められた思いはもうひとつある。外装をカスタマイズして自分だけのWR-Vを作ると言うテーマだ。ベース車として、WR-Vのラインアップ中もっともリーズナブルな「X」を選んでいるのはそんな狙いもあってのこと。最上級グレードの「Z+」と「X」とは価格差が約40万円ほどあることに着目。その分を好きなパーツを組み込んで自分仕様のWR-Vを作ることを楽しむことを提案する。
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具体的にはフロントグリル、フォグライトガーニッシュ、ブラックエンブレム、フロント/サイド/リアのガーニッシュ類などのオプションパーツをエクステリアに装着。特にWR-Vの特徴でもあるボリューム感のあるフェイスをオリジナル化しているのがフロントグリル。縦フィンデザインで純正とはかなり違ったイメージのフェイスにできる。
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フロントロワガーニッシュは純正のボディ色そのままのロワグリル周りを、シルバーで縁取る効果がある。フォグライトまわりをメッキで彩るガーニッシュも含めて、オリジナルのフロントセクションを作ることができるパーツ群が用意される。
これらを自由にチョイスすれば自分だけのオリジナルWR-Vを作れるだろう。ベーシックグレード+オプションパーツの組み合わせを存分に楽しめる車両なのもWR-Vの面白さだと感じた。
◆WR-V1台でキャンプも快適に、広々なトランクに4人分のキャンプギアが収まる
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もう一台用意されたWR-Vは、アウトドア・4人でキャンプバージョンと呼ばれる仕様。ネーミングの通り4人乗車でなおかつ4人分のキャンプ道具をWR-Vに積み込んで出かけるというシチュエーションを想定したもの。
注目したのはWR-Vの積載能力の高さだ。先にも先にも紹介した通り、荷室容積の大きなWR-Vは、リアシートを利用するシートアレンジでも458Lの荷室容積を確保できる。4人が乗り込んでもラゲッジサイズはとにかく余裕いっぱい。
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テント、タープ、クーラーボックス、シュラフ、テーブル、チェア、食器類などを4人分余裕で積み込めてしまうことを実際に確認した。写真に写っているキャンプサイトのすべてのアイテムを実物をラゲッジに収納した写真を見ると、まだまだ余裕があることが確認できる。
容量の余裕=緻密なパッキング無しに大量の荷物を積み込めることを指しているのもポイント。例えばキャンプ場に行く道中に食材などを買い出す際、取り出しやすいようにクーラーボックスを上に置いたり、キャンプサイトに着いたら真っ先に取りだして設営したいテントを上に積んだりできる。
さらにはテント設営中にさまざまなアイテムを地面に直接置きたくないといったユーザーのために、チェアもすぐさま降ろせる位置に積載できるのも、余裕のサイズがあるWR-Vのラゲッジならでは。隙間を埋めるようにきっちりとパッキングしなくても、程々の緩~い積み込み方法でも4人分のキャンプ道具を余裕で積み込める荷室サイズがありがたい。
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このように2台のWR-Vでわかったのは、アウトドアレジャーなどで思いっきり使い倒すのに最適な荷室や車室内を持ったクルマであること。さらには手頃でコンパクトなので扱いやすい点。そしてオプションパーツを活用すれば自分流に育てていける自由度の高さも兼ね備えているクルマであることだった。コンパクトSUVとして使い勝手の良いクルマだが、それぞれのユーザーに合わせた使い方が可能な奥が深いクルマであるWR-V、ベース車の魅力に加えてホンダアクセスのパーツ類を使って自分流のWR-Vをコーディネートすると良いだろう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。