BYDが日本市場に毎年1台新型車を投入…3つのアップデートを発表:2024からの戦略

BYD 2024年戦略発表会
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BYDオートジャパンが3月1日、2024年の戦略を発表した。記者発表には、BYDオートジャパンの東福寺厚樹代表取締役社長と、BYDジャパンの劉学亮代表取締役社長が登壇した。BYDジャパンは、日本国内の乗用車、電気バスやフォークリフトなどの事業を統括する会社だ。


◆テスラを超えた?

BYDは2023年に世界でNEV(EV+PHEV)を300万台以上販売し、累計販売台数では650万台に達する(2024年2月段階)。一部ではテスラを超えたとの声もあるほど、EV界の覇者ともいえる存在だ。だが、劉氏は「BYDオートジャパンが乗用車を日本で発売して以来、消費者、ディーラー、パートナーなど市場のみなさんには大変感謝している」とお礼の言葉からはじまった。

BYDオートは2023年までに、BYD、ヤンワン、デンツァ、ファンチェンバオの4つのブランドを展開している。ファミリーコンパクトからプレミアムカー、スポーツカーやオフロードSUVまだほぼフルラインナップでNEVを展開している。バッテリーやエネルギー事業、交通事業(BYDはモノレールや都市輸送事業を手がけている)も展開する。BYDグループは、2016年に環境エネルギー問題に取り組むことをミッションに加えている。EV、PHEVを筆頭とする電動モビリティ(トラック、バス、乗用車、港湾・空港車両、AGV、モノレールなど)は、グリーントランスポーテーションシステムとして、BYDのグリーン戦略の一端を担う。

◆Hello, e-Life!

日本市場でもこれを推進するため、電動モビリティを身近なものにする「Hello, e-Life!」を掲げ、「これからは毎年1台(以上)の新型車を投入していく。」と述べた。ここでいう新型車は、原則としてEVになるはずだ。BYDは中国以外の国ではPHEVも販売している。しかし、質疑応答の場で劉氏は「日本ではEV」と発言している。日本での市場優位性はむしろEVにあると分析しているのだろう。

続いて登壇した東福寺氏は、2023年の販売活動を振り返り、今後の戦略について語った。2024年3月の自転で、BYDの営業拠点(開業準備室含む)は51か所。正規ディーラーは22店舗。北海道や沖縄を含み、47都道府県うち半分ほどを制覇している。BYD車の国内累計販売実績は2023年12月までの時点でATTO 3が1198台。ドルフィンが248台。合計で1446台となっている。

◆台数目標は未達、新型車投入は計画をトレース

東福寺氏は「日本市場に参入した当時の目標である2000台には届かなかったが、0スタートだったということを考えると悪くないと思っている。2024年はBYDのビジネスをさらに加速させる」と述べたが、2024年2月までの動きでは、2000台達成は見えているといい、また目標を下回った要因として、ドルフィンの型式指定が取得中であることを挙げた。現状、PHPという輸入車の簡易登録制度を利用しているため、1台ずつの検査が必要となっている。PDIセンターの処理能力の問題もあり、受注のバックログを抱えていることを示唆した。

販売目標では未達の部分はあったが、予定していた新型車投入については着実に計画をトレースしている。『SEAL』以降の車種についても、具体的な車名は発表できないが計画は進めているという。コンパクト市場ならば『シーガル』(海外では『ドルフィンミニ』の名前で発売された)、高級ミニバンならデンツァ『D9』、プレミアムSUVならヤンワン『U8』、本格オフロードならファンチェンバオ『レオパルド』、さらには「TANGシリーズ」「HANシリーズ」などセダンやミッドサイズSUVなどのラインナップは豊富だ。

◆日本市場で3つのアップデート

商品力はあるが、やはり日本市場での認知はまだ十分とはいえない。東福寺氏は、2024年の1年でビジネスを加速させるため、(1)製品のアップデート、(2)体験機会のアップデート、(3)コミュニケーションのアップデートの3つアップデートを掲げた。

製品のアップデートは、『ATTO 3』のマイナーチェンジとSEALの導入だ。ATTO 3は、BYDが日本に最初に導入したEVだ。国内市場での声を受け、今回いくつかの仕様変更が発表された。内外装のマイナーチェンジに加えソフトウェア機能(カラオケアプリの追加など)がアップデートされる。さらに販売済みのATTO 3についても同様なパソフトウェアアップデートがOTAで行われることも付け加えられた。

SEALはかねてより日本導入が発表されている車種(スポーツSUV)だが、正式「年央」発売が明示された。何月かは直接の発言はなかったが、6月ごろと見込まれる。

体験機会のアップデートは、2023年に実施した1か月の貸出試乗が公表で成約にもつながっているとして、全国30か所での「Hello! BYDキャラバン」をスタートさせる。まずは3月9日10日に東京代官山「T-SITE」が予定されている。今後は、このような顧客接点をさらに増やし、メディア露出も積極的に行うという。

公開された新TVCMは著名アーティストを使い、よく作り込まれている。国内大手OEMのCMと比較してもそん色がない。CMのコンセプトやタッチも日本式をよく研究している。

《中尾真二》

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