次世代のクルマ作りを支える、Neusoftの先進ソフトウェア技術…ナビやIVI、AR-HUDに見る開発力と適応力

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Neusoftブース(オートモーティブワールド2024)
  • Neusoftブース(オートモーティブワールド2024)
  • NEUSOFT Japan 車載エンベデッド ソリューション&サービス 営業部の小泉 賓(まろうど)氏
  • グローバルナビゲーション「OneCore」
  • グローバルナビゲーション「OneCore」
  • Neusoftブース(オートモーティブワールド2024)
  • Neusoftブース(オートモーティブワールド2024)
  • Neusoftブース(オートモーティブワールド2024)
  • NAGIVI(Neusoft Automotives Global In-Vehicle Infortainment)

自動車業界の先端技術が一堂に集結する「第16回オートモーティブワールド」(オートモーティブワールド2024)が1月24日~26日、東京ビッグサイトにて開催された。今回、数年ぶりにブース出展をしたNeusoft(ニューソフト)に注目。高いソフト開発能力を持つ同社は、オートモーティブの次世代を体感させるブースを展開した。

自動車ソフトウェア開発における豊富な知見と実績

Neusoftは1991年に創業した中国ナンバーワンのソフトウェア企業だ。中国東北大学(NEU)のソフトウェア研究室をルーツとし1991年に起業。起ち上げに大きく関わったアルパイン(現:アルプスアルパイン)を始めとする日本企業向けのオフショア開発で中国企業としてトップを走り続け、組込みソフトウェア開発、とりわけ車載ソフトウェアの開発で規模を拡大。また同時に、3つのIT情報大学を運営することで、エンジニア不足と言われる今日においても2万名を超えるエンジニアを潤沢にかかえている。2001年には日本と中国との橋渡し(ブリッジ)の役割を担う日本法人、NEUSOFT Japanを設立して自動車メーカー、サプライヤーとの取引などを年々強化してきた。またアフターパーツメーカーとの関係性も強く、市販カーナビなどにも同社の手がけたソフトが導入されている例が少なくない。数々の実績を日本で積み上げてきたNeusoft。知らず知らずのうちに我々は同社が手がけたソフトを利用したり目にしているケースが少なくないようだ。

Neusoftのブースで、同社の魅力となるオートモーティブ分野でのソフトウェアについて話を伺った。NEUSOFT Japan 車載エンベデッド ソリューション&サービス 営業部の小泉 賓(まろうど)氏は、中国発のソフトウェア技術を国内企業へ橋渡しする重要な役割を担うキーパーソンだ。

NEUSOFT Japan 車載エンベデッド ソリューション&サービス 営業部の小泉 賓(まろうど)氏NEUSOFT Japan 車載エンベデッド ソリューション&サービス 営業部の小泉 賓(まろうど)氏

昨今のソフトウェア開発のトレンドを尋ねると、小泉氏は「近年は供給先のメーカーからの要望もありLinuxベースだったものをAndroidベースに変更して設計することが多くなっています。コストや拡張性、標準化、安定性などを求めてAndroidベースを求める声が多いのです。当社では従来のLinuxベースで実現した機能や性能を損なうことなくAndroidベースに置き換えることを随時進めています」と話した。

今回の出展におけるアピールポイントについては下記のように答える。

「Neusoftが作るオートモーティブ分野のソフトウェアには数々の魅力があります。そのひとつがIVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテインメント)です。中国では日本に比べてIVIの進化が一歩進んでいることもあります。Neusoftは中国での開発経験も豊富で、先進の技術を日本へ導入する力があると思っています。例えばグラフィックの部分では3Dグラフィックなどの積極活用も、中国では早くから取り入れてきた項目です。単に情報を伝える・操作するだけではなく表現技巧にもこだわる段階に来ているのが現在のインフォテインメントです。中国市場は早くからこの点を重視して進化してきました。そんな当社の得意分野を活用したIVIを展示して、実際に見て・触れてもらうことも大きな目的のひとつです」

実際にブースを見渡すと、もっとも大きなスペースを取って展示を展開していたのがIVIのコーナーだった。興味深かったのはNeusoftがどのような経緯でインフォテインメント開発の世界で高い技術力を持つことになったのかを、時代を追って見ることができる展示構成になっていたことだ。

現在のインフォテインメントのルーツになっているのはカーナビのソフト開発だった。国産メーカーの有名カーナビ(パイオニア カロッツェリアの楽ナビ)が展示され、そのソフトウェアをNeusoftが手がけたことを紹介。地図の3D表現やグラフィカルなメニューなど、早くから現在につながる技術を開花させていたことがわかる内容となっていた。またEU、タイで展開されているカーナビも展示。中国国内のみならずグローバルな展開を実施することも示している。さらにNeusoftグローバルナビゲーションであるOneCoreも展示。高精度地図レンダリングや高精度測位アルゴリズム、ARナビゲーションやAIナビゲーションなど、さまざまな機能や可能性を示して見せる。日本車(日産『アリア』)の搭載モデルも展示されており、充電スポットの場所を考慮したルート探索といった最新機能の搭載をあらためて紹介した。

グローバルナビゲーション「OneCore」グローバルナビゲーション「OneCore」

次世代インテリジェントコクピット「C5」に見るIVIの未来

その隣に用意されたのが、IVIの歴史と現在、未来を見せる注目のコーナーだ。まずは同社ではIVIをいくつかの世代に分けている。「C3」と呼ばれるのはカーナビとデジタルメーターが個別に存在した時代。両者が相互に連携し始めたのがIVIの黎明期と言われている。

次の世代は「C4」と呼ばれ、カーナビやメーター、インフォメーション画面などが統合される。またサイド画面に映していた映像を、フリック操作でセンター画面に移動させるなど、IVIとして統合したシステムが完成の域に達したのがこの世代。現在のスマートコクピットと呼ばれる装備だ。

IVI「C4」IVI「C4」

そして次世代のインテリジェントコクピットとなるのが、同社が「C5」と呼ぶIVI。車載ヒューマンコンピューター インタラクションセンターと銘打って展示したのは、Neusoftが最新技術を投入して作り上げた現在進行形のIVIだ。すべてのモニターは相互に移動連携ができ、アプリを立ち上げてフリックでさまざまな位置で映像やインフォメーション画面を利用できる。映像をフリックして後席モニターに移動させるなんてことも可能だ。また空調や車内イルミなどのコントロールもグラフィカルな3D映像を使ってコントロールされる。わかりやすさに加えてエンタメ性能も併せ持つ。鮮やかで美しい画面、グラフィカルな表現など、次世代のIVIを強く感じさせる展示となっているのが印象的だった。

IVI「C5」IVI「C5」

このようにNeusoftが作り上げた現在進行形のIVIを見ると、今後はどのように進化して行くのかが気になった。そこで小泉氏にNeusoftが考えるIVIの近未来を予想してらったところ、「車載のセンサーなどとの連携がさらに強化されていきます。ドライバーの眠気の検知、子供の置き去り防止など、車載センサーとIVIが連携することでできることは飛躍的に増えます。またドライバーの特性を学習する機能なども考えられるでしょう。朝の出勤時には“こんな傾向の曲を再生すると快適”といった分野にまでIVIの領域が広がっていくと考えています」という回答があった。

C5のIVIのデモ展示にはアクリルでシースルー化してハードウェアも控え目にアピールされていた。こちらは中国国内限定で展開する同社製のIVIのハードウェアだ。ソフトウェアの開発のみならず、中国国内ではハードウェアも併せて手がけるのが同社の強みのひとつ。ハード/ソフトの両面を知るからこそできる次世代IVIの開発であることも思い知らされる。

中国で普及が進むAR-HUD

もうひとつの注目展示がAR-HUD(Augmented Reality Head-up Display:拡張現実型ヘッドアップディスプレイ)だ。フロントウインドウにカーナビやADAS機能などを浮かび上がらせるAR-HUD。視線の移動が少ないインフォメーションディスプレイとして注目されている技術だ。すでに中国では普及が進んでいるが、日本では中国ほどの普及を見せていない分野。そこでNeusoftでは日本への導入を積極的に働きかけているのだ。中国における開発でブラッシュアップされたAR-HUDは完成度も高く高精度で車線レベルのナビが可能なのがアピールポイント。例えば走行中に気になる映像のわずかなブレもなくす、ソフトウェア制御を実装したのもポイント。現在最新バージョンとなるAR-HUD Ver.3ではカーナビにおいてサービスエリアの表示を追加、さらにADASの機能もアルゴリズムにより精度やリアルタイム性が強化され、3D映像を駆使して人とクルマのマークを映し出す機能も備えた。ブースにはデモ機が用意され、実際に走行時の映像を見て確認することが可能で、駐車時には動画再生や流れている音楽のジャケットを映し出す機能も体験できた。

AR-HUDのデモAR-HUDのデモ

その他、ここまでの紹介とは分野が若干異なるのだが気になったのがインテリジェント通信ソリューション「T-BOX」だ。これは、通信(5G/V2X)を利用して車内外のネットワークとの連携を可能にしたもの。クルマのオンライン化を可能にする端末だ。こちらは中国国内における通信規格に合格(同社は通信規格の策定にも関わっている)、ハードウェアも含めて同社が手がけるシステムとなった。この製品は日本への導入というより、日本企業が中国展開をする際に必要になる要素として提案された。

インテリジェント通信ソリューション「T-BOX」インテリジェント通信ソリューション「T-BOX」

インフォテインメントをはじめとした、オートモーティブ分野での最先端のソフトウェア開発に長けたNeusoft。多数のモニターを装備した中国車を映像などで見たことがある読者も多いだろうが、それらの例からもわかるとおりIVIや映像のエンタメ演出といった面で一日の長がある中国企業、それだけに今後のクルマ作りにそれらの技術とアイデアが必要になってくることが想像される。中でもオートモーティブのソフトウェアにおけるリーディングカンパニーであるNeusoftは、日本でもますます注目を集める企業になるだろう。

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《土田康弘》

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