1月末に開催されたオートモーティブワールド2024の専門セミナーで、ソニー・ホンダモビリティ E&Eシステムアーキテクチャ開発部 ゼネラルマネージャ 西林卓也氏が「AFEELAにおける自動車の知能化・エンターテインメント」と題するセミナーを開催した。
2020年にソニーが発表した『Vision S』から4年。現在はソニー・ホンダモビリティが「AFEELA(アフィーラ)」ブランドのEVとして開発を進めている。車両の外観などは発表されているが、詳細機能やスペックはなかなか表に出てこない。セミナーでは、西林氏も「出せる情報が限られており心苦しい」と冒頭に断りを入れるくらいだった。だが、開発エンジニアによる設計コンセプトの話は、最終的な製品の方向性を示すものだった。
◆頭脳がありモーターがあり判断をするもの
西林氏は、ソニーの前はNECに在職しており、「PC-9801」の最後期モデルの開発などに携わった。ソニーに移ってからは「VAIO C1」「サイバーショット」(デジカメ)「Xperia」(2014年モデル)などを手掛けている。PCの技術をコンシューマ製品に応用展開する役目を担い、2018年にはaibo(アイボ)復活(第2世代)プロジェクトのメンバーとなった。ロボティクスの経験を積んだ西林氏は、ソニーのドローン開発を経て現在はアフィーラのE/Eアーキテクチャ設計を指揮している。
スマートフォンやアイボはモビリティとは遠い存在だが、「川西泉社長曰く、頭脳(プロセッサ)とモーターがあってソフトウェアが認知・判断をして動くという点では、アイボもドローンも車も一緒」ということで、ソニー・ホンダモビリティの車づくりの考え方を示した。
このような書き方をすると、クルマとガジェットを一緒にするべきではない、という反応がありそうだが、もちろん製品の品質や安全性を担保した上での話だ。西林氏は、車両の安全性、法令遵守、業界標準についてはホンダからの役員・エンジニアが担当しているとする。また、西林氏自身もXperiaやアイボの開発ではセキュリティ機能の設計・実装を担当している。
◆AD/ADASは既存のCNNモデルとViTを融合
2024年1月のCESで発表されたアフィーラのコンセプトは「New Mobility Experience」だ。これについて西林氏は、「アフィーラの車両には多数のセンサーや膨大な演算能力を持つプロセッサ、そして多数のディスプレイモニターが搭載される。AIによるセンサーの認識機能を駆使し、新しい体験を提供すること」と、コンセプトの実現方法について言及した。