極上のカクテルか、最上級のクラフトマンシップか? マセラティの最新SUVが“ただの流行りのSUV”ではない理由

PR
マセラティ グレカーレ Modena
  • マセラティ グレカーレ Modena
  • マセラティ グレカーレ Modena
  • マセラティ グレカーレ Modena
  • マセラティ グレカーレ Modena
  • マセラティ グレカーレ
  • マセラティ グレカーレ
  • マセラティ グレカーレ Modena
  • マセラティ グレカーレ Modena

◆“風”を感じるマセラティGTの新たなカタチ

どんな自動車ブランドのラインナップを見渡しても、もはやSUVは定番の車型として欠かさざるモデルになった。イタリアンGTの老舗にして名門、マセラティにも『レヴァンテ』と『グレカーレ』という2車種のSUVが存在する。だが、その独特の存在感というかマセラティのSUVが放つ強烈な個性には、やはり確たる理由がある。

まずいずれのモデルもSUVである以前に、マセラティ伝統のGT(グランド・ツーリング)カーであること。ふたつ目はサイズ感が異なるだけでなく、それぞれ際立った個性を備えたモデルでありながら、マセラティのGTカーの定石の通り「風」にちなんだ由来によるネーミングを与えられていることだ。「風シリーズ」はマセラティにとって1963年登場のGTカー「ミストラル」から続くものだが、それ以上に悠久の時間軸や広大な地理的感覚が背後にはある。

マセラティ グレカーレマセラティ グレカーレ

そもそも「レヴァンテ」とは地中海の西方、欧州大陸とアフリカ大陸を分けるジブラルタル海峡の峻険な地形がために生じる強烈な東風のことで、地中海に荒天をもたらすことで知られる。一方の「グレカーレ」も同じく荒天をもたらす地中海特有の風だが、とくに地中海の南に低気圧が発生した際に吹きすさぶ、冷たい北東風を指す。

いずれもギリシャ・ローマ時代から、船旅をする航海者たちに広く知られてきた気象現象で、畏怖の対象であると同時に、航海というグランド・ツーリングの成否のために利用しなくてはならない風でもあった。そして地中海世界の海神といえば、ギリシャ神話のポセイドンまたはそれがエトルリア化・ローマ化されたネプチューンだ。マセラティの紋章である三又の鉾(トリデンテ)が、この海神の携えた武器であることは、いうまでもない。

いわばマセラティのGTとは、少し大袈裟にいえば21世紀にSUVのカタチをとった今も、地中海世界ならではの、強烈な光と影のコントラストや天候や感情の起伏といったものを、旅や冒険を通じて、乗員の五感に訴えかけてくる乗り物といえる。だからレヴァンテとグレカーレは、流行りのSUVとしてそこにあるのではなく、イタリアンGTの普遍的な価値観を今日的感覚で提示してくる。比類ないパフォーマンスと快適性、あるいは両者のバランスがもたらすエモーションそのものが、マセラティというGTを経験することなのだ。

◆『グレカーレ』は日常でも輝く、極上のミクソロジー

マセラティ グレカーレ Modenaマセラティ グレカーレ Modena

グレカーレはマセラティの最新モデルのひとつで、その世界観を端的に述べるなら、極上のミクソロジー(自然の材料などを使う新たなカクテルのスタイル)の妙といえる。

まず低めの位置にとられたフロントグリルは、フロントフェイスで主張するSUVが多い中で、相対的に控えめでさえある。だがオーバルのエンブレムやトリデンテのオーナメント、さらにトリプルのサイドエアベントといったマセラティ独特の主張はある。全長4.9mに満たず、使いやすいサイズ感に見合ったしなやかなプロポーションだが、ドアハンドルを省いたスムースなオープナーなど、横アングルからの眺めは決定的にモダンだ。

マセラティ グレカーレ Modenaマセラティ グレカーレ Modena

インテリアに目を移せば、乗員を心地よく包み込んでくる、素材感のリッチさに目を奪われるはずだ。レザーやウッド、カーボンやアルミといった馴染みあるマテリアルが用いられる一方で、先進的なデジタル・インターフェイスが組み合わされている。

12.3インチのTFT液晶メーターパネルに加え、セントラル・デジタル・ディスプレイは12.3インチ+8.8インチという大画面構成だ。機能的にも、下画面がエアコンやシートといった生理的なコンフォートに関する領域、上画面が車両情報やインフォテイメントの領域と、ボタン式のPRND/Mセレクタを間に配しつつ整然と分けられている。しかもドライバーの視線と手が届きやすい「くの字型」の仰角が与えられるなど、人間工学的にきわめて優しい配置となっている。

またダッシュボード中央のクロックも液晶で、文字盤デザインやストップウォッチ、方位計を兼ねるなどスマートな仕様だ。まさしく異なる領域の最良のものを、巧みに調和させたインテリアと言える。またリアシートの広さと快適性も、グレカーレがSUVである以上にマセラティGTである証左だ。

マセラティ グレカーレ Modenaマセラティ グレカーレ Modena

しかも、走る距離の長短に関わらず、直4のMHEVかV6ネットゥーノかに関わらず、グレカーレは乗り手を楽しませる。日常的な速度域でもしなやかな乗り心地と、軽快なハンドリングの片鱗は味わえる。アクセルを踏み込むほどに力強さも安定感も、そして求めれば切れ味すら増していく。かくして操って走らせることが、確実に快楽に変わっていく。

甘美さと鋭敏さが同居するからこそ、日常生活において輝く場や瞬間が多々ある、グレカーレはそうした稀有のSUVなのだ。

◆『レヴァンテ』は最上級のクラフトマンシップが込められたハイエンドGT

マセラティ レヴァンテマセラティ レヴァンテ

もう一方のレヴァンテは、全長5mを僅かに超える堂々たる車格を備えたマセラティSUVで、登場から6年を経た今、爛熟といえる完成度を誇る。それはSUVであると同時に、スタイリングから機能性、コクピット周りの濃密な雰囲気まで、最上級のクラフトマンシップが込められたハイエンドGTなのだ。

レヴァンテのエクステリアは、切れ長の形状でフルLEDアダプティブマトリックスも選べるヘッドライトの目つきからして、力強い。フロントマスクがフラッグシップにふさわしい貫禄を漂わせつつ、SUVながらロー&ワイドに見せる伸びやかなプロポーションは優雅にしてアグレッシブ。スポーツカーを思わせるサッシュレスの前後ドアも、レヴァンテのサイドビューを際立ったものにしている。

それでいて過激さだけではなく、『3200GT』から受け継いだブーメラン型のリアコンビネーションランプが、さりげなく伝統の継承者であることをも示す。レヴァンテは徹頭徹尾、GTとしてのオーセンティックさを主張するのだ。

マセラティ レヴァンテマセラティ レヴァンテ

インテリアでは、センターコンソール上でドライバー側に寄せられたフロアシフト、視認性の高い2連メーターに、レザーで多くの部分が覆われたダッシュボードが、クラシックですらある。こうしたアナログ感覚重視のコクピットの周辺では、ダッシュボード中央に8.4インチのフレームレスHDタッチスクリーンが配され、新世代の対話型インテリジェント・アシスタントをも採用している。デジタルによる利便性は高めつつ、インターフェイスや雰囲気は古典にこだわったところが、レヴァンテ独自のバランスなのだ。

ヴィークル・ダイナミクス面でも、レヴァンテにはマセラティ初のSUVとして、惜しみなく必要なテクノロジーが投入されている。SUVとして本格的な走破性を有するのはもちろんだが、GTとして異なる状況や路面に対応するため、最大+40mmまで数段階の車高調整機構を含む、先進的なアクティブサスペンションを備えている。しかもパワーユニットは直4とV6のみならず、トップ・オブ・グレードにしてもっともパワフルな「トロフェオ」では、今や貴重なV8すら用意されている。

またパワーゲート仕様のリアハッチを下ろす際のクローズボタンも、腕を上に伸ばす必要のあるハッチ側ではなく、荷室内の側面に設けられ、エレガントな所作で操作することができる。フラッグシップSUVらしい重厚感や矜持が隅々まで息づく、それがレヴァンテなのだ。

◆SUVであること、それ以上の歓びを味あわせてくれる2台

マセラティ グレカーレ Modenaマセラティ グレカーレ Modena

いってみればグレカーレとレヴァンテの個性の違いは、フルサイズかひと回り小さいかという、サイズ感の大小のみにとどまらない。よりカジュアルでデジタル・ネイティブなGTとしてグレカーレには、日常性の高さや親しみやすさがありながら、ハンドリングGTとしての奥深さがある。

他方のレヴァンテは、伸びやかな佇まいからして特別な存在であることを静かに主張する。シリーズ最高峰のトロフェオでは、0-100m/h加速で4.1秒に達するほど、怪力的パフォーマンスの動的質感をも備えている。それでいて低グリップ路でも有効なエフィシェンシー・モードの走りも可能という、インテリジェンスとポリヴァレンス(多用途性)を兼ね備えている。

SUVといえば、今やトレンド感をおさえた安心の選択肢のようだが、それ以上の何かであることを走らせるたびにもたらし、所有する満足を味あわせてくれる。それこそがマセラティのGTの流れを汲むこれらのSUVが、例外的なSUVであるゆえんだ。

マセラティ グレカーレマセラティ グレカーレ
《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集