モビリティ社会に貢献する矢崎総業の独自技術、電動化や社会課題に3つの提案…人とくるまのテクノロジー展2023

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矢崎総業ブース(人とくるまのテクノロジー展2023)
  • 矢崎総業ブース(人とくるまのテクノロジー展2023)
  • 「バッテリバスバーモジュール」や「高柔軟電線」「高電圧半導体ジャンクションボックス」などの高電圧製品が、電動車の効率性向上に貢献する
  • 小型化や低背化を可能にする「バスバー」
  • 「バッテリバスバーモジュール」
  • クルマの中の電力、信号を最適に分配しつなぐ「EEDSソリューション」
  • 超小型EVで「新しいモビリティに向けた、標準電装プラットフォーム」を紹介
  • スマホアプリと連携する「スマートボディコントロールユニット」を搭載することで、車載機器を簡素化しながらボディコントロールや機能拡張が可能になる
  • スマホアプリと連携する「スマートボディコントロールユニット」を搭載することで、車載機器を簡素化しながらボディコントロールや機能拡張が可能になる

矢崎総業は5月24日から26日にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2023」に出展。「電動化に対する未来への提案」をテーマとし、3つの分野を柱に展示を行った。

・高電圧製品
・多様化するモビリティに対応する電装プラットフォーム
・モビリティ関連サービス

長年の知見を活かした高電圧製品

高電圧製品で鍵となるのは、今後、普及拡大が予想される電動車両で不可欠な、駆動用バッテリや電動アクスルをつなぐコネクタや配索材だ。矢崎総業は、そもそも電線事業で創業しており得意分野である。また1990年代後半からハイブリッド車(HEV)や、補機用バッテリの高電圧化で知見を重ねてきた。

電気自動車(BEV)の一充電走行距離を左右する一つが、車載バッテリ容量だ。容量を増やすには、クルマの床下構造に寸法的制約があるため、バッテリモジュールをつなぐ配索材をいかに効率的に配するかが鍵となる。ところが、高電圧の電線は太く、曲がりにくくなるので、狭い場所での使い勝手に難しさがあった。

従来の高電圧電線に替え、空間を有効活用する手法の一つが、「バスバー」と呼ぶ金属製の配索材である。電線の厚みを抑える平たい金属を使うことにより、電線では難しい角度の曲げも可能となり、小型化や低背化できる。低背化とは、高さを抑えることをいう。

小型化や低背化を可能にする「バスバー」小型化や低背化を可能にする「バスバー」

また、ラミネートのような樹脂素材を使ったFPC(Flexible Printed Circuits)を用い、セル電圧検知機能基板を実装することで、バッテリセルの充放電状況を監視する機能を持たせることができ、部品点数の削減にも寄与する。

「バッテリバスバーモジュール」「バッテリバスバーモジュール」

高電圧の電線自体の開発も進めており、従来のケーブルに比べ曲げ角度を60%きつくできる柔軟性を持たせた「高柔軟電線」により、高電圧装置間の距離を詰めて車載でき、車体の空間をより有効に活用できるようになる。

高電圧電線に強みを持つ矢崎総業の技術が、電動化普及期に入ったいまの時代に貢献することになる。

小型モビリティの進化を支える技術

電装プラットフォームとは、電装品の装備に必要な基盤技術をいう。電動化の推進は、小型モビリティへも広がろうとしている。ガソリンスタンドの減少や、都市部での活用だけでなく、公共交通が十分でない地域の日常の移動を支える期待があるからだ。そこに矢崎総業の、「スマートボディコントロールユニット」「電源拡張ユニット」「車載テレマティクス」技術が貢献する。

超小型EVで「新しいモビリティに向けた、標準電装プラットフォーム」を紹介超小型EVで「新しいモビリティに向けた、標準電装プラットフォーム」を紹介

スマートボディコントロールユニットは、メーター表示と、ワイパーやライトなどを作動させる機能を一括制御するECUとすることにより、多様化するモビリティに対応する機能を満たしながら、部品点数の削減に貢献する。矢崎総業は、かねてより統合コックピットとしてメーターとボディ制御技術を実用化しており、それを活かすことで、モビリティの多様化に適応した電装プラットフォームをつくりあげた。

スマホアプリと連携する「スマートボディコントロールユニット」を搭載することで、車載機器を簡素化しながらボディコントロールや機能拡張が可能になるスマホアプリと連携する「スマートボディコントロールユニット」を搭載することで、車載機器を簡素化しながらボディコントロールや機能拡張が可能になる

電動車は車載機能が日進月歩で、新しい機能への対応が短期間に求められる。従来は、車載が想定される機能に適応できるようあらかじめ設計を織り込んでおく必要があったが、それでは時間的に間に合わなかったり、部品点数が増えてしまったりする懸念があった。

そこで「車載テレマティクス」を組み合わせることにより、多様化への適応能力を高めている。「電源拡張ユニット」と、スマートフォンと連携することで、機能追加への柔軟性を持たせるのである。その実現のため、様々な通信を可能にする「統合アンテナ」や、「無線コントロールユニット」を搭載することで、矢崎総業の独自性が活かされている。

「車載テレマティクス」「車載テレマティクス」

物流の効率化と脱炭素に貢献するシステム

モビリティ関連サービスは、物流をより効率化する技術を基にした支援機能だ。NECと共同で市場展開する、「積載率可視化システム」である。3Dセンサを使い、コンテナ内の積載率を測定し輸送の無駄を省く。これにより、トラックの輸送効率を高めることができる。

次期運行管理システム「YDX-8・ESTRA-Web2 」(左)とNECと協業による「3Dセンサ活用による貨物の積載率計測システム」(右)次期運行管理システム「YDX-8・ESTRA-Web2 」(左)とNECと協業による「3Dセンサ活用による貨物の積載率計測システム」(右)

国内物流は、総量で90%をトラックが担う。とはいえ、運航の往復では片道空荷に近い走行が行われているのが実態だ。このため、行きと帰りで積載率をできるだけ100%に近づける配送が輸送を効率化する。加えて、空荷での走行を減らすことは脱炭素への適応にも役立つ。

3Dセンサで得たコンテナ内の積載率の情報を、矢崎総業が永年培ってきたデジタルタコグラフと組み合わせ、無駄を省く輸送計画を実行できるようになる。これはまた、トラック運転者の労働問題の解決ともつながる。2024年問題とも言われているが、トラック運転者の減少に加え、労働時間の上限が定められることによって、トラック輸送の一層の効率化が求められているのだ。常に積み荷を満載した状態での運航が実現すれば、トラック便数を減らすことも視野に入るようになり、課題解決の糸口になる。また、消費者にとっても、ネット販売や宅配便、あるいは生鮮食料品の配送などを通じて、トラック輸送が滞りなく行われれば、恩恵を受けることになる。

このモビリティ関連サービスは、輸送事業に関わる事業者の規模の大小を問わず、効率的な配送とカーボンニュートラルを両立する。

このように矢崎総業は、クルマの中をつなぐ高電圧製品、クルマと人をつなぐ電装プラットフォーム、クルマと外をつなぐモビリティ関連サービスという、3つの「つなぐ」によって、モビリティの未来へ貢献していくのである。

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《御堀直嗣》

御堀直嗣

御堀直嗣|フリーランス・ライター 玉川大学工学部卒業。1988~89年FL500参戦。90~91年FJ1600参戦(優勝1回)。94年からフリーランスライターとなる。著書は、『知らなきゃヤバイ!電気自動車は市場をつくれるか』『ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本』『電気自動車は日本を救う』『クルマはなぜ走るのか』『電気自動車が加速する!』『クルマ創りの挑戦者たち』『メルセデスの魂』『未来カー・新型プリウス』『高性能タイヤ理論』『図解エコフレンドリーカー』『燃料電池のすべてが面白いほどわかる本』『ホンダトップトークス』『快走・電気自動車レーシング』『タイヤの科学』『ホンダF1エンジン・究極を目指して』『ポルシェへの頂上作戦・高性能タイヤ開発ストーリー』など20冊。

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