“Small”をキーワードに、ボルボ史上最小のSUVかつ電気自動車と謳う『EX30』が発表された。そこで今回は同じ“30”の数字を車名にもっていた『C30』を振り返ってみたい。
◆ボルボの客層を変えた2ドア・プレミアム・コンパクトクーペ

“ボルボの新発想、新カテゴリーの2ドア・プレミアム・コンパクトクーペ”としてC30の日本市場への導入が発表されたのは2007年6月。当時の資料を繙くと、C30はさまざまなタイプのクルマの検討から始まり、それまでのボルボにはなかった若いユーザーに向けた“楽しい、スポーティな2ドアカー”に方向が定められ開発したものだったという。
もっとも重要な要素はデザインとし、往年のボルボ車の「1800ES」(1971年)、「480ES」(1985)や、コンセプトカーの「SCC」(セーフティ・コンセプト・カー)からのインスピレーションを活かしたという。“これまでボルボを購入対象に考えたこともない人たち”とは、ボルボのプレゼン資料の中にはそんな記述も。

実車は当時の『S40』『V50』のいわば2ドアハッチバック版といった趣で、全長はセダンのS40より220mmも短いもの。2640mmのホイールベースは同一で、フロントフェイスも両車とほぼ共通(2010年のフェイスリフトでより個性化が図られた)。
デザイン上の見せ場はリヤビューで、ショルダーの張りがそのまま大型のリヤコンビネーションランプへと繋がり、その内側にガラスハッチを設け、ショートオーバーハングに仕上げられた小気味よい佇まいは実にチャーミングだった。

インテリアは定員4名としたレイアウト。インパネは“フリーフローティングセンタースタック”と呼んだ、背面に空間がある独特のセンターパネルが特徴だった。コンパクトなクルマながら、搭載エンジンは全車とも横置きの直列5気筒でスタート、4気筒は2010年2月のマイナーチェンジ時に追加設定された。
この時代のボルボは紙質も内容も上等なカタログがまだ用意されていた頃で、もちろんC30も例外ではなかった。ボディカラーの紹介ページでは全17色(!)のバリエーションが、艶やかに見えるよう各々のクルマの写真をビニールコートした状態で載っていた。
