消えたエンジンだからこそ、語っておきたい技術がある

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『エンジン開発への情熱』
ユニークなエンジンの系譜
著者:桂木洋二
発行:グランプリ出版
定価:2200円
ISBN978-4-87687-403-3

技術が成熟へと向かうなかで、姿を消したエンジンや技術を紹介することでその進化の過程をたどる珍しい本が出版された。

技術が成熟へと向かう過程において、姿を消したエンジンや技術は決して劣っていたわけではなく、メーカーが優位性を示そうと、生き残りをかけて取り組んだ飽くなき挑戦の記録である。本書では、技術者が試行錯誤を繰り返しながら、歴史に名を刻んだエンジンを紹介することでその変遷を知る、温故知新となる書だ。

ページをめくるとホンダF1参戦第一期の1.5リットルV型12気筒エンジンやT360トラックのDOHCエンジンなどが取り上げられている。その精密さや性能の高さ、特徴など利点は多く語られるが、その背景やなぜ消えていく運命にあったかなどはあまり語られる機会はない。本書ではそういった面にも目を向けるとともに、技術的側面においても以降のエンジン開発にどのような影響を与えたかも述べられているので、ストーリー性も含めて興味深く読み進めることができる。

そのほかにもトヨタ『エスティマ』の直列4気筒エンジンや3ローターロータリーエンジンなど1990年代のエンジンについても記されているので、身近なエンジンが実は短命だったなどと改めて気づかされることもありそうだ。

『エンジン開発への情熱』『エンジン開発への情熱』

本書は、『ユニークなエンジンの系譜』(2007年3月12日刊行)の内容の再確認を実施し、改題のうえカバーデザインを一新して刊行する新装版である。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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