ベアリングのNTNが行う、EV化に対応した高性能な製品開発

NTNのeアクスル用製品
  • NTNのeアクスル用製品
  • ベアリング(軸受)はeアクスルの様々な場所に使われる
  • dmn値はベアリングの軸受ピッチ内径×1分間の回転数
  • 高回転時の破損や発熱を抑える対応で課題を解決
  • NTN「EV・HEV用高速深溝玉軸受」
  • 低フリクションと異物侵入防止性を両立するシール
  • クリープの発生するメカニズム
  • NTN「超低フリクションシール付玉軸受」

自動車や産業機械向けの軸受(ベアリング)メーカーであるNTNは2月21日、これからの製品戦略についてメディア向けセミナーを開催した。グローバルに進むクルマの電動化を見据え、軽量化・高速化・低フリクション化に対応したeアクスル(e-Axle)用製品に力を入れていくという。

当日は、「EV・HEV用高速深溝玉軸受」「超低フリクションシール付玉軸受」「耐クリープ性能向上軸受」の新しい3製品が紹介された。

◆EV化によってベアリングに求められる小型軽量化と高回転対応

NTNでは、約6500億円(昨年実績)の売上のうち60%以上を自動車業界向けが占める。主力製品はタイヤの回転を支えるハブベアリングで、世界シェアトップ(同社調べ)を誇る。ドライブシャフトも世界シェアNo.2とのことで、この2製品が自動車市場向け事業を支えている。

自動車市場の電動化により、2023年にはエンジン(ICE)のみを搭載する車両のグローバル生産台数は約20%まで減少すると同社は予測している。これに伴いeアクスル(電動車軸)の需要は増加する。ICEとトランスミッションに代わりEVにおいて動力の発生と伝達を担う基幹部品がeアクスルで、モーターと減速機(ギヤ)および電気の流れを変換するインバーターから構成される。NTNの主力であるハブベアリングとドライブシャフトはeアクスルにも使用されており、需要の増加が見込まれている。

効率化を進めるEV開発においては、航続距離を延ばすためにeアクスルの高出力化や小型軽量化が求められている。当然、そこに使われるベアリング類にも小型軽量と高出力・高回転への対応といった、相反する要素を高いレベルで実現することが要求される。

◆業界最高の高回転性能

モーターを小型化すると駆動力(トルク)は減少するため、同じ出力を確保するためには高速化が必要となる。また、スポーティーなEVの登場により、高出力なモーターに対するニーズも増えている。高回転・高出力のモーターからの動力伝達には、eアクスルのさまざまな場所に使用されているベアリングが重要な役割を担う。

ベアリング(軸受)はeアクスルの様々な場所に使われる

「EV・HEV用高速深溝玉軸受」開発にあたっては、内部構造や素材の見直しによる軽量化と強度の確保、加工精度の向上、潤滑条件の最適化などが行われたとのことだ。その結果、高速回転時の遠心力による内部の変形に伴う発熱や破損を抑えることに成功した。同社は、このベアリングが世界最高の高速回転性能を達成したとする。


《石川徹》

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