シトロエン『ベルランゴロング』は子供と過ごす時間を楽しむためのクルマ…ブランドマネージャー[インタビュー]

シトロエン ベルランゴロング
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  • ステランティスジャパンシトロエンブランドマネージャーの中山領さん
  • プジョー リフター
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ステランティスジャパンが導入を開始したシトロエンベルランゴロング』。標準ボディの5人乗りに対し、こちらは3列7人乗りだ。ではユーザー層をどう切り分けるのか、また、プジョー『リフター』とどう差別化を図るのか。ブランドマネージャーに話を聞いた。

◆パワーワード以外の魅力

---:初めに伺いたいのは、ベルランゴの標準ボディとロングボディとでいかにユーザーを差別化していくかです。

シトロエン ベルランゴシトロエン ベルランゴ

ステランティスジャパンシトロエンブランドマネージャーの中山領さん(以下敬称略):都市部だと5シーターの標準ボディ、少し郊外だと7シーターのロングボディというように、住むエリアによって変えていくという訴求の仕方になるでしょう。

具体的には駐車場のスペースの問題や、道の狭さ、そして家の広さも結構関係性があるかなと思っています。都市部ですと家が狭くて物を置けないことが多いようです。そうすると、かさばってしまうような趣味のものはお持ちではないんですね。ではそういったものをお持ちの方々は、それなり大きなガレージがあって。だから大きなものを持っていて、ついてはその大きなものを運ぶ必要が出てきます。そういう特性を考えると、ロングボディは郊外向きかなと。すごく大きな括りではありますが。

もちろん都市部でもロングボディに乗りたい方はいらっしゃいますし、このクルマよりもよっぽど大きいクルマがいっぱい走っていますので、全く問題はないとは思いますが、基本的な考え方、仮説としてはそういうことなのかなとは思っています。

ですので、基本的なこの考え方をもとに、あくまでも使用されるシーンを想定しながら、あとは最適な形でご提案できるようにしていきたいと考えています。

---:想定ですが、標準とロングボディではだいたいどのくらいの割合になると考えていますか。

中山:最終的には標準ボディの方が強いんじゃないかという見立てです。現状はロングボディが出たばかりで、お待ちのお客様がオーダーを入れてくださいましたのでほとんどロングボディです。しかしロングボディの新規性が落ち着いてきた時には標準ボディの方が重宝されるのではないかと考えています。

そこでいえることは、モデルどうこうは関係なく“3列”“7人乗り”“スライドドア”というワードだけでお客様は注目してくださいます。ただしライバルがすごく多いのでこのキーワードで惹かれる方々は、別に輸入車である必要はないんです。そうすると、このマーケット規模を踏まえて長期間で考えると、ベルランゴではそこまでのパワーワードではなくなる可能性もあると思っています。

◆ファミリーをテーマに

---:輸入競合他車と比較して、ベルランゴの強みは何でしょう。

中山:まずはロングボディで大きく差別化は出来るでしょう。問題は標準ボディです。細かい点をあげれば、バックドアが観音開きよりは跳ね上げの方が使い易いという評価です。こちらの方が日本では圧倒的に人気です。開ければ屋根にもなりますので雨の日とかに便利ですよね。ですからファミリー層にはこの方が使い勝手がいいんです。またガラス部分が開閉できるガラスハッチも結構評価されています。

シトロエン ベルランゴシトロエン ベルランゴ

コミュニケーションとしての訴求方法は、競合車はウレタンバンパーなど、素を楽しむことを重視してるように思います。一方のベルランゴは、国産ミニバンとはやはり違うクルマが欲しい。道具感というよりはもうちょっと快適性や、お洒落さ、こだわりを重視しています。

---:では同じステランティス系でプジョー『リフター』とはいかがですか。

プジョー リフタープジョー リフター

中山:まずプジョーリフターでは“ファミリー”といういい方はしないですね。そこがまず違います。従いましてリフターとはユーザーのライフステージが違うと捉えています。ベルランゴは本当にファミリー、小さい子供がいる、まさに子育て真っ最中というイメージです。しかしリフターの場合は、エンプティネスタ、お子様が独立して、趣味を満喫する。例えば趣味でコントラバスを弾きます、みたいな感じでしょうか。

---:つまり子供に手がかからなくなったから、もっと自分の趣味を楽しみたいというユーザーイメージですね。

中山:そうです。本当に今お話したような大きな楽器などをはじめとした趣味の道具を運ぶためなのですが、ちょっと安っぽいクルマではなくプレミアム感がありながらも、荷物をたくさん積めてアクティビティをたくさん楽しめるようなポジションです。

---:その違いは標準ボディも同様のように感じますがいかがですか。

中山:平均年齢はベルランゴの方が低いんです。それはやはり子供と一緒に住んでいる年齢層だからで、そこは明確に差別化できていています。

ですから、標準ボディとロングボディとでは、スペースが必要かどうか、大きいサイズを所有できるかどうかという違いでしょう。

---:最後に中山さんが考えるシトロエンベルランゴとはどういうクルマですか。

中山:人生を楽しむクルマです。子供と過ごす時間は人生トータルで見ると意外と少ないもの。そこを思いっきり楽しんでもらうためのクルマです。そのためにはスライドドアでないと載せにくい荷物など色々あるでしょうから、そういうところを含めて家族の方々に不便なく使ってもらえるという機能的な部分。そして、家族の思い出としてずっと残っていくようなところに一緒に行ける。人生で一番の場所で、このクルマと一緒に楽しんでもらえたら嬉しいですね。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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