トヨタ、近副社長「半年先も見通すことも難しい」---中間決算で“視界不良”を強調[新聞ウォッチ]

トヨタ決算発表
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  • ジブリパーク(10月12日、プレビュー)

トヨタ自動車が発表した2022年9月中間連結決算は、売上高が前年同期比14.4%増の17兆7093億円で、中間期として過去最高を更新したが、営業利益は34.7%減の1兆1414億円、最終利益も23.2%減の1兆1710億円となり、中間決算としては2年ぶりの減益となったという。

オンラインで決算発表した近健太副社長も「自動車産業の将来に大きな変化を与えかねない変化が同時多発に起きている。半年先も見通すことも本当に難しい」などと、神妙な面持ちで説明していたのが印象的である。

それも道理、超円安の恩恵で“ボロ儲け”をしているようにも思われていたが、蓋を開けてみれば、長引く半導体不足に加えて原材料費の高騰が重荷となり、過去の決算とは、だいぶ景色が違っていることが読み取れる。

◆円安効果があっても減益

きょうの各紙も、読売が経済面のトップ記事で「トヨタ円安で売上高増」との大見出しで取り上げたものの、「原材料高・部品不足は重荷」などと、過去最高の売上高を打ち消すようなサブ見出し。朝日も「円安『追い風』でも暗雲」・「原材料高・半導体不足好転の兆し見えず」。毎日、産経と東京は「2年ぶり減益」を強調。さらに、産経は経済面で「難題が同時多発、EV戦略見直さず」と解説している。

そして日経は「資源高1.6兆円重く、円安効果1兆円で補えず」「今期世界生産50万台下げ」として、「生産計画の下方修正で新車不足による納期遅れの長期化が解消されず、販売面でも制約が続く」とも伝えている。

歴史的な円安ドル高の進行で利益が膨らむ輸出企業の代表格のトヨタでも雲行きが怪しいようでは、日本経済の悪化懸念も強まり、重い気分になる。自動車業界のリード役が唱える「この産業で働く550万人が日本を元気にする」という熱いメッセージが、掛け声倒れに終わらなければいいが……。

2022年11月2日付

トヨタ円安で売上高増、原材料高・部品不足は重荷、23年3月期(読売・9面)

●JR上場4社黒字、9月中間決算、行動制限緩和で(読売・9面)

●日産「サクラ」受注停止、部品不足で「エクストレイル」も(読売・9面)

●日産、EV比率1割に、今年度上半期販売軽EVが好調(朝日・7面)

●ソニー営業利益過去最高に、音楽・半導体が貢献、ゲーム事業は減速(朝日・7面)

●日産に「両刃の剣」悲願ルノーとの資本関係見直し、EV事業協力迫られ、財務余力低下、技術流出の懸念(毎日・7面)

●ジブリパーク愛知に開園、きっとすてきな出会い(東京・1面)

●国内新車販売29%増、10月トヨタが回復、35%増に(日経・14面)

●日野自、2000億円の融資枠契約(日経・15面)

《福田俊之》

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