【BYD ATTO3 新型試乗】日本のEV市場の台風の目となるか?その実力は…丸山誠

オーストラリア仕様の「ATTO3」に日本で試乗

ドアに「カタツムリ」?ユニークなインテリア

サスペンションがいい仕事をしている

日本のEV市場の台風の目となるか

BYD ATTO3
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ついにBYDの乗用車が日本で発売される。EVに少しでも関心があれば、BYDという社名は聞いたことがあるはずだ。

日本ではEVバスを以前から導入していて、国内EVバスでは約7割のシェアだという。BYDオートジャパンが発売を予定しているのは3タイプで、SUVの『ATTO3』(アットスリー)とコンパクトの『DOLPHIN』(ドルフィン)、ハイエンドモデルとなるセダンの『SEAL』(シール)だ。そのうち今回は、2023年1月に発売予定のATTO3に試乗する機会を得た。

オーストラリア仕様の「ATTO3」に日本で試乗

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試乗車は正式な日本仕様ではなく、販売を開始したばかりのオーストラリア仕様を日本の法規に合わせて登録したモデル。2023年に導入されるときには型式指定を予定しているというから、試乗車からは多少変更される部分があるかもしれない。

試乗会場に置かれたATTO3を見ると、SUVというよりクロスオーバータイプのようなルックスだ。全長は4455mm、全幅1875mm、全高1615mmだから日産の『アリア』より全長と全幅はやや短く、全高は40mm(アリアB6比)も低い。背が低いためSUVというよりクロスオーバー的に見えるのかもしれない。

エクステリアの特徴はリアピラーに付けられたメタルパネルだ。リア斜めから見るとステランティスのDSを想起させるデザインで、パネルには波紋のような凹凸がデザインされている。BYDのスタッフに聞くとATTO3のデザイナーは元アウディにいた人物でDSとは関係がないという。メッキタイプのウインドーモールの処理などは、どことなくアウディに似ているような気もする。

ドアに「カタツムリ」?ユニークなインテリア

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ドアを開けて運転席に座ると、ドアに付けられたステレオのスピーカー(ツィーター)のデザインに驚かされた。まるでドアに「カタツムリ」がついているように見える。ドアオープナーハンドルとスピーカーが1つにまとめられたユニークなデザインだが、好みが分かれるポイントになるかもしれない。インパネデザインもユニークで、アッパーとロア、ドアトリムにもソフトパッドが使われていて意外に質感が高い。

セレクトレバーのデザインも独特で、レバータイプのバイワイヤーで、親指でボタンを押して手前に引くとDレンジ、奥に倒すとRレンジにシフトされる。レバーの根元にはPボタンがレイアウトされていて、普通のAT車に乗っている人でも一度配置を覚えれば操作にとまどうことはないだろう。

スターターボタンやオーディオ、ハザードランプなどの物理スイッチは、セレクトレバー近くに集中して配置されていてなかなか使いやすい。ドライブモードの切り替えスイッチもここにレイアウトされている。

サスペンションがいい仕事をしている

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ドライブモードのノーマルを選んでスタートするとEVらしいスムーズな加速感だが、合成された「クィーン」という感じの音が気になった。何の音かと思ったら歩行者にクルマがいることを知らせる車両接近通報装置の音だった。この装置は法規でEVやハイブリッドなどに義務化されているが、室内にこれほど音が届くクルマには乗ったことがない。スピーカーの指向性や取り付け位置を変更すればかなり音量は抑えられるはずだ。もちろん30km/hで音が出なくなるので、それ以上であれば上々の静粛性といえる。

15分程度の短時間の試乗だったため一般道しか走っていないが、235/50R18という大径タイヤを装着している割には乗り心地がよく、マンホールを踏んでも突き上げ感はほとんどない。装着タイヤはケース剛性が高いコンチネンタルのエココンタクト6Q(指定空気圧250kPa前後とも)であることを考えるとサスペンションがいい仕事をしているようだ。ちなみにサスはフロントがストラット、リアがマルチリンクで前輪駆動(FF)。アクセルを深く踏み込むとリニアに加速度が高まる感じだ。

スポーツモードに切り替えて同様に加速すると確かに力強さは底上げされるが、EVにありがちなレスポンスを高めて加速感を高める演出はほとんどない。それもそのはずで150Kwのモーターを備え電池容量約60kWhモデルの0-100km/h加速は7.3秒だというから想像どおりだ。

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日本のEV市場の台風の目となるか

試乗車はインパネセンターに大型の12.8インチのタッチスクリーンを装備していたが、現状ではナビ機能は装備されていなかった。だが、日本仕様にはやはりナビが必要と考え発売時には装備される予定だという。また、コネクト機能のAppleCarPlayとAndroidAutoは、BYDファクトリーワイヤレスアップデートによってアップデートされる予定で、BYDのバッテリー保証は8年15万kmだ。

まだ販売価格が発表されていないため断言はできないが、日本のEV市場の台風の目になることは予想できる。

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■5つ星評価(一般道のみ)
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。

《丸山 誠》

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