秘境&絶景、島根・鳥取県境を行く路線バス---3台乗り継いで感じた心地いい“落差”

宇井渡船場バス停にとまる松江市美保関コミュニティバス
  • 宇井渡船場バス停にとまる松江市美保関コミュニティバス
  • 境水道大橋からみえた鳥取・島根県境。右の山々が島根半島、左が鳥取 境港の街並み。風景が対照的
  • 一畑バスのいすゞ『ジャーニーK』ワンステップバスで美保関ターミナルへ
  • 一畑バス 万原線からみえた宍道湖
  • 一畑バス 万原線からみえた松江の街並み
  • 美保関ターミナル
  • 美保関ターミナルで客を待つ美保関コミュニティバス
  • 美保関コミュニティバスからみえた中海。このあたりは「うなぎ」もうまい

まさかこんな、“異国”ともいえるぐらい車窓がガラッと変わる越境路線バスがあったとは…。そう感じてしまう、秘境と絶景と“落差”を体感できる路線バスが、島根・鳥取県境にある。島根県の県庁所在地で「水の都」として知られる松江から、バス3台(3路線)を乗り継いで、鳥取県境を越え、日本海の重要港湾といわれる境港(さかいみなと)へと行く2時間の路線バスの旅へ。

●松江駅→美保関ターミナル

松江方はJR山陰線松江駅と、境港方ではJR境線境港駅に連絡するから、鉄道を介して松江発・境港発の両方からアプローチできる。今回は、松江駅から一畑バス万原線(まんばらせん)県民会館島根大学経由美保関ターミナル行きに乗って“秘境&絶景バス”の旅を始める。

一畑バス 万原線からみえた宍道湖一畑バス 万原線からみえた宍道湖

ほぼ毎時1本運転されている一畑バス万原線、松江駅9時45分発の便はいすゞ『ジャーニーK』のワンステップバス。松江駅を出ると、“島根のオアシス” 宍道湖や松江城が車窓に映り、こうした名所では一畑バス運転手がたまにアナウンスしてくれる。

一畑バス万原線は、松江市街を抜けるとしばらくして右手にきらきら光る穏やかな水面が車窓に映る。これが島根・鳥取県境にある中海。水辺で釣り糸を垂らしてチェアに座ってのんびり過ごす人もいて、時間がゆっくり流れているみたい。

美保関ターミナルで客を待つ美保関コミュニティバス美保関ターミナルで客を待つ美保関コミュニティバス

松江駅から770円・45分ほどで終点の美保関ターミナルにつく。ここ美保関ターミナルでは、松江市が運行する美保関コミュニティバスに接続していて、島根半島の西端にある美保関まで行くには、ここから美保関コミュニティバス美保関線に乗り継ぐ。こちらは鳥取県境を越えて境港へと行く美保関・境港線に乗り継ぐべく、美保関線のマイクロバスで宇井渡船場バス停まで行く。

●美保関ターミナル→宇井渡船場

美保関ターミナル~宇井渡船場を担う美保関コミュニティバスは、「松江市有償運送中島市交第3号」と記された白ナンバーのトヨタ『ハイエース』。車内には運転席脇に運賃箱があり、そこに一律運賃200円をじゃらっと入れる。もちろん交通系ICカードの類は使えない。

境水道と島根半島の山々、右手に境港の街並みがみえてくる境水道と島根半島の山々、右手に境港の街並みがみえてくる

中海沿いをゆっくり走る美保関コミュニティバス美保関線のハイエースからは、水辺に構える小さな造船所や、気持ちよさそうにペダルをこぐサイクリストとすれ違う。このあたりから、中海対岸に鳥取境港の街並みがみえてきて、人のいる気配を感じない島根川の大自然の風景と対照的な景色に気づく。

また途中、自衛隊前というバス停があり、左車窓には航空自衛隊高尾山分屯基地がみえた。その先の山頂付近には、ゴルフボールにも似た巨大なレーダーがみえた。

宇井渡船場バス停で待機する境港行き松江市美保関コミュニティバス宇井渡船場バス停で待機する境港行き松江市美保関コミュニティバス

10時40分に美保関ターミナルを出た“松江市ハイエースバス”は、14分で宇井渡船場バス停につく。その名のとおり、ここには境水道渡船という渡し船が運航していた。2007年3月にその役目を境水道大橋にゆずり、姿を消した。そんな渡船場の面影を残す宇井渡船場バス停には、すでに次の第3ランナー美保関コミュニティバス美保関・境港線の三菱ふそうマイクロバス『ローザ』が待っていた。

最終ランナー美保関コミュニティバス境港線でいざ境水道大橋へ最終ランナー美保関コミュニティバス境港線でいざ境水道大橋へ

宇井渡船場バス停で30分ほど待ち合わせ。ここでも感じるのは、島根側は秘境感ただよう、人の気配があまりない自然豊かな山間の道だったのに、対岸の鳥取・境港側は、巨大なマンションや住宅街がみえて、そのコントラストがまるでどこかの国境のよう。

●宇井渡船場→境港駅

境水道大橋。標高50メートルの島根側から鳥取へ駆け下りる!境水道大橋。標高50メートルの島根側から鳥取へ駆け下りる!

そんな島根で過ごす時間が「よかったなーっ」と島根旅を振り返りながら、“松江市ローザ越境バス”に乗って11時25分に出発。イカ釣り漁船の脇をすり抜け、境水道渡船の役を引き継いだ境水道大橋へむけて、山道を駆け上がっていく。

境水道大橋からみえた鳥取・島根県境。右の山々が島根半島、左が鳥取 境港の街並み。風景が対照的境水道大橋からみえた鳥取・島根県境。右の山々が島根半島、左が鳥取 境港の街並み。風景が対照的

そして、島根・鳥取県境の絶景は突如やってくる。山道を登ったかと思うとすぐ、ぱーっと視界が広がり境水道大橋へとさしかかり、標高50メートルの高さから左右車窓に境水道を見おろせる。境港の街はほぼ海と同じぐらいの標高だから、“松江市ローザ越境バス”は絶景を愛でながらジェットコースターのように一気に駆け下りて、鳥取・境港へと越境する。

観光客でにぎわう鳥取・境港の水木しげるロード観光客でにぎわう鳥取・境港の水木しげるロード

境港の街へと入ると、10分前までいた島根の秘境感が夢見心地だったかのような感覚に。妖怪ブロンズ像が出迎える水木しげるロードのまわりには、他県ナンバーのクルマと観光客で大盛りあがり。屋台やカフェにはスマホで自撮りする女子旅グループ、海の幸やスタンプラリーなどを楽しむファミリーと、“まるで異国”ともいえるぐらい対照的な風景があった。これがまた、島根・鳥取県境を行く秘境&絶景路線バスの心地いいところ。

《編集部》

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