「水素ヤリス」に試乗、乗り味は意外にも---気体水素燃焼エンジンを搭載

GRヤリスH2
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スーパー耐久レースではルーキーレシングから#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(いわゆる「水素カローラ」)が参戦していて、毎戦その進化に大きな話題が集まる。今回、同じ気体水素を燃料に使用した車両に乗ることができた。

昨年の富士24時間から参戦を開始した水素カローラ。その進化はものすごい速さだ。ラップタイムも早くなり、給水素の時間も短縮されている。関係者の情熱がものすごいのだろうと想像できる。情熱が注ぎ込まれたレーシングカーではないが、ほぼ同じユニットを組み込んだ『GRヤリスH2』が試乗に用意された。

ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第2戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』が行われた富士スピードウェイで、トヨタ自動車主催で、気体水素を燃料としたGRヤリスH2の試乗会がメディア向けに実施された。

外観はいたって普通のGRヤリスだが、左ハンドルで6速MT。さらに、ジムカーナなどのカテゴリーに参戦してきました、またはこれから参戦します、という足回りやデフなどが組み込まれた車両だ。シートもフルバケットシートが組み込まれている。

車内の撮影はNGだったが、センターディスプレイには水素関連の表示をするメーターが設置されている。後席はレースカーと同じく水素タンクを背負っているため、隔壁が設けられており後方視界はない。とはいえ限られた場所を走るには必要ないだろう。

レースに参戦する水素カローラは、レーシングスピードで走るため、アクセルはほとんどの場合オンかオフの状態が多く、パーシャルで踏むことがそう多くない。GRヤリスH2では、パーシャルでアクセルを踏む時の制御が難しいそうで、2速3000回転程度で軽くアクセルを踏んでいるような状況だとちょっとギクシャクした走りになる。

アクセルを踏み込んで加速していく時は、瞬時に速度が上がっていき非常に乗りやすい。ブレーキング時はアクセルオフになるが、その時は加速するタイミングを素直に待っているような静けさを感じられる。音も静かで、車内に入ってくる音はエンジンが元気に回っている音と、タイヤが石を跳ね上げる音が響く程度だ。普通のガソリン車と同じような音しか車内には響かない。

後席に水素タンクを積むことで快適性はほぼ無くなった。これでは日常使いはできない。航続距離を伸ばすためには大きなタンクを背負わないといけないのは、いまだ仕方ない部分だ。

一般的な利用のためには、タンクの小型化と収納方法を検討しなくてはならない。その検討用に作られたのが、試乗会場でコンセプトモデルとして紹介された『カローラクロス H2コンセプト』だ(試乗はできなかった)。後席の下に水素タンクを積み、後席にも人が座れるように作り上げた。イベント広場にも展示されており、こちらはシート下とラゲッジルーム下に配置された水素タンクが見えた。

今後は航続距離を伸ばすために液体水素の研究開発を行っていく。水素は温度をマイナス253度より低くしないと液体の状態にならないのが課題だ。

《雪岡直樹》

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