【フォーミュラE】 電気残量0.0%でチェッカーフラッグ…第6戦レビュー

【フォーミュラE】 電気残量0.0%でチェッカーフラッグ…第6戦レビュー
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電気自動車のF1とも言える「フォーミュラE世界選手権(FE)」の第6戦が4月30日にモナコで開催され、緻密な戦略を採ったストフェル・バンドーン(メルセデス- EQフォーミュラEチーム)が優勝した。毎回紹介している様に、FEでは「電費」が勝敗を分ける。チェッカーフラッグを受けた時、バンドーンのマシンに搭載されているバッテリー残量は"0.0%"を示していた。

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◆減速時の回生も勝敗の鍵

FEのマシンにはエンジンの代わりにモーターが搭載され、バッテリーから供給される電気で走行する。市販車でも世界的に増えている、バッテリーEV(BEV)によるレースだ。二酸化炭素を排出しないマシンで争われる「次世代のモータースポーツ」には、今までにない見どころがある。

このレポートは、そうした角度からFEを毎戦検証している。特に、減速時の回生も含めたバッテリーの使い方を考えたドライビングが勝敗の鍵を握るのは、FEならではの面白さと言える。

◆モナコでシーズン初勝利が欲しかったバンドーン

今シーズンのバンドーン(ベルギー)は、ポールポジションを2回獲得するなど速さを見せているが勝ちに恵まれていない。昨年の年間王者でもあるチームメイトのニック・デ・フリーズ(オランダ)は開幕戦で優勝しており、早くシーズン1勝目が欲しい。

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第5戦の舞台は、フォーミュラ1(F1)のモナコグランプリも開催される伝統のモンテカルロ市街地コース。ここで優勝し、元首アルベール2世公からトロフィを受け取るのはレーシングドライバーにとって大きな栄誉とされている。予選4番手から決勝レースに臨むバンドーンには、心に期すものがあっただろう。

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◆レースの序盤は抑えた走り

レース序盤は、ポールポジションからスタートしたミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)がトップを走行。目立ったバトルは見られず、一列に連なっての走行となった。各ドライバーはバッテリー残量をセーブし、後半のチャンスをうかがう。

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直線部分では「リフト・アンド・コースト(アクセルペダルから足を上げて惰性で走行)」で速度を抑え、電気を節約するシーンが多く見られた。終盤、電気残量に応じて攻めるか守るかなど、戦略が分かれる。

◆エネルギー効率が良かったバンドーンが優勝

バンドーンもポジションをキープしながらの走行を続けていたが、他の上位陣よりも常にエネルギー残量が1%程多い状態で中盤を迎えた。45分+1周で争われる決勝レース。残り18分でトップに立ったバンドーンは、ペースを慎重にコントロールしながらトップを守った。

終盤にはエバンス(ニュージーランド)が迫ったが、バッテリー残量表示はわずか3%。1周を走行するにはギリギリの状態で、プッシュはできなかった。ポジションを守り切ったバンドーンがエバンスを従えて今季初勝利を飾った。3位にはジャン=エリック・ベルニュ(DSテチータ)が入った。

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ベルニュ(フランス)も一時トップを走行したが、モーター出力を220kWから250kWに一時的に上げられる「アタックモード」中にコース上でアクシデントが発生したためペースダウンを余儀なくされる不運に見舞われた。

◆「ポールを取らなかったから優勝できた」?

バンドーンへのレース後のインタビューでは、「今回はポール(ポジション)を取らないようにした」ことも優勝の要因であるかのようなコメントが聞かれた。通常、予選でトップタイムを記録し、先頭からスタートすることは有利となる。しかし、FEのレースでは、最前列が有利とならないケースが多い。

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全16戦のうち、空港の滑走路を使用するベルリンの2レース以外は市街地を一時的に閉鎖した「ストリートコース」で開催される。通常は一般車両のみが走っているため、ホコリなどが多くサーキットと比べると滑りやすい。さらに、レース用タイヤのゴムが路面に付着してタイヤの空転を防ぐ、いわゆる「ラバーグリップ」も低く、FEの場合は先頭からのスタートが有利に働かないことが多いと言われている。

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今回の結果は、予選での位置取りからチェッカーフラッグまで、緻密な戦略を立てたチームと、それを完璧に実行したバンドーンのドライビングスキルによる総合的な勝利と言える。終盤にトップに立った後は、ペースをコントロールしてトップでゴールラインを通過。その時のバッテリー残量は"0.0%"を示しており、文字通り100%の走りで勝利をもぎ取った。

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FE第8シーズンの第7戦と第8戦は、2週間後の5月14日と15日にドイツの首都、ベルリンで開催される。今後も、次世代のモータースポーツならではの見どころを紹介していく。

《石川徹》

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