トヨタ、狙い撃ちされた系列部品会社…システム障害で国内全工場停止[新聞ウォッチ]

トヨタ自動車元町工場
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  • 日野自動車がネーミングライツを取得した羽村市動物公園(東京都羽村市)

現時点で原因は特定されていないようだが、日本政府が、ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、国内企業に対しもサイバー攻撃を受ける可能性があるとの警戒を呼びかけていた矢先だけにセキュリティ対策の不備も問われそうだ。

トヨタ自動車が、3月1日に国内全14工場28ラインの稼働を停止すると発表。グループの日野自動車も仕入れ先企業でシステム障害が発生した影響で、3月1日に国内2か所の完成車工場の稼働を停止するほか、ダイハツ工業も、トヨタの受託生産を行っている京都工場の稼働を3月1日に停止する。背景には部品メーカーのシステム障害で、部品の供給を受けられなくなったからだという。

きょうの各紙も1面や社会面などで大きく報じている。今回、システム障害が起きたのは、樹脂部品などを製造する愛知県豊田市の小島プレス工業で、トヨタ創業期からの古参の部品会社でトヨタとのつながりも深いが、防衛策が万全でなかったことから狙われた可能性がある。読売によると「サイバー攻撃とは断定できないが、社内のシステムが何らかの攻撃を受け、不具合が生じているのは事実」と答えつつ、「詳細について確認を進めている」とも伝えている。

また、 日経は「サイバー攻撃では厳重に防衛された企業本体よりも、より対策が甘い海外拠点や関連企業を狙う手口が一般的」として「今回の攻撃者の実態や意図は不透明だが、専門家は国内における攻撃が急増しているとして注意を促す」とも報じている。

トヨタによると、国内全工場が1日停止することによる影響は1万3000台に上るとみている。さらに、トヨタはシステムに異常はないが、2日以降の稼働は未定という。新型コロナの感染拡大や半導体不足などの影響による減産が余儀なくされている中で、今回はサイバー攻撃とみられるシステム障害による被害である。一難去ってまた一難というダブルパンチどころか、トリプルパンチの危機をどう乗り切るのか注目したい。

2022年3月1日付

トヨタ国内全工場停止,部品会社にサイバー攻撃か(読売・1面)

ケリー被告3日判決「未払い報酬」焦点、司法取引是非も(読売・32面)

●外環道工事一部差し止め、東京地裁決定「再び陥落の恐れ」(読売・33面)

●マレリHDがADR申請へ、負債総額1兆円超(朝日・9面)

●日野自動車に命名権決まる、羽村市動物公園(朝日・23面)

●停戦協議開始主張隔たり(毎日・1面)

●世界経済、ロシア排除加速、英BP撤退、ダイムラー提携解消(日経・1面)

パナソニック、新型EV電池量産(日経・16面)

いすゞ・日野、EVバス生産、24年度 FCVもトヨタと検討(日経・16面)

《福田俊之》

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