マイカー相乗り公共交通「ノッカル」、富山でスタート…デジタル&アナログが絶妙

立山連峰系 白馬岳から北陸新幹線や旧北陸線(あいの風とやま鉄道)、北陸道が走る日本海側に至る、富山県朝日町。ここに博報堂と朝日町が国土交通省 事業者協力型自家用有償旅客運送制度を初めて活用した“新しい相乗りタクシー”が動き出した。

朝日町公共交通サービス「ノッカルあさひまち」。その名のとおり、マイカーを持っている町民のクルマに、「乗っかる」スタイルの“公共交通”だ。

この公共交通と名乗るところが新しい。マイカーを活用した送迎サービス「ノッカル」は、朝日町が運行主体となってドライバー・利用者の募集、運行管理し、博報堂がサービス設計・コミュニケーションデザイン設計を担うモビリティサービス。

需要見込みと公共交通サービス水準確保で本格化

マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルあさひまち」富山県朝日町で本格運用開始マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルあさひまち」富山県朝日町で本格運用開始ここに事業者協力型自家用有償旅客運送制度を活用し、地元のタクシー事業者 黒東自動車商会に予約受付や配車を委託。さらにスズキがサービス設計や一部車両貸与・維持管理をサポートする仕組み。

9月までの実証実験で、会員数は164名、のべ利用者数は799名、ドライバーは22名に達し、「一定の需要が見込めることと、公共交通としてのサービス水準が確保できると判断し、朝日町の正式な公共交通サービスとして本格運用を開始することとになった」という。

10月からの本格運用からは、博報堂DYグループが開発したMaaSシステムを新たに導入し、利用者の利便性向上と運用効率化の両立を図っていく。この新システムへは、2021年内に切り替えていくという。

そこで気になるのが、収益構造

マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルあさひまち」富山県朝日町で本格運用開始マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルあさひまち」富山県朝日町で本格運用開始富山県朝日町で始まった、マイカーを活用した公共交通サービス「ノッカル」は、どんな収益構造か。まず利用者が支払う“運賃”は、1人利用の場合は回数券3枚(600円)、二人利用(乗り合い含む)の場合はひとり回数券2枚(400円)をドライバーに渡す。

この回数券とは、朝日町で走っているコミュニティバスのリアルな紙の回数券で、バス車内や朝日町役場、あさひ総合病院、道の駅などで発売されている。

ノッカルの予約や運行情報などはスマートフォンアプリでチェックインできるいっぽうで、こうしたアナログな回数券を使うという点も、高齢者ニーズにあわせた“最適化”のひとつだろう。

収益分配は3等分というイメージ

公共交通ノッカルは、たとえば1人1回乗車で回数券によって支払われた600円は、どう分配されるか。町役場に聞くと、「ドライバーに200円、朝日町に200円、そして地元のタクシー事業者(黒東自動車商会 黒東タクシー)に入る」という。

「ドライバーは、1人を乗せて走ると200円が自分の手元に残り、1000円分がまとまると1000円分の商品券と引き換えられて、朝日町商工会に加入している店舗で利用できる」

そうなると、LINEベースのシステムを設計する博報堂はどこから収益を得るのか。「朝日町の運賃収入とは別の項目からシステム利用料を博報堂に支払う」という。

博報堂と富山県朝日町は、自治体サービスの住民利便性向上を目的に、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する課題について、相互に連携・協力する連携協定を締結。締結式には、博報堂 名倉健司 常務執行役員、同 CMP推進局 堀内悠 部長、同 ビジネスデザイン局 畠山洋平 部長、富山県 朝日町 笹原靖直 町長、同町 山崎富士夫 副町長、富山県知事政策局 三牧純一郎氏、国道交通省総合政策局 モビリティサービス推進課 石川雄基 課長補佐などが参列した。

《大野雅人》

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