トヨタ自動車に勤務していた男性社員が2010年にうつ病で自殺したのは過密な業務と上司のパワーハラスメントが原因だとして、男性の妻が労災を認めなかった豊田労働基準監督署の処分取り消しを国に求めた控訴審判決で、名古屋高裁は請求を棄却した1審・名古屋地裁判決を取り消し、労災を認める逆転判決を言い渡したという。
きょうの各紙が社会面で「トヨタ社員自殺は『労災』、パワハラなど原因認定」などと取り上げている。それによると、当時40歳だった男性は三好工場で新型『プリウス』の部品の生産ラインを立ち上げる業務などに携わっていたが、09年10月、うつ病を発症し、翌年1月に自殺した。
その妻は、男性が海外工場の生産準備など複数の業務を抱えて過密労働となり、上司に大声で叱責されるパワハラも受けていたと主張。労災補償を求めたが、豊田労基署は12年、「自殺は業務に起因しない」として遺族年金や葬祭料の不支給を決定していた。
訴訟ではうつ病の発症が過密業務やパワハラが原因となったのか、が争点だったが、高裁は強い心理的負荷があったと結論づけて、パワハラとうつ病発症の因果関係を認める逆転判決となったという。
判決後にトヨタでは「従業員の声を吸い上げ、手を差し伸べることができなかったことは反省すべきで残念。すべての社員が安心して働ける風通しの良い職場風土を築くよう、努力を続けていく」とコメントを発表している。それにしても、最近のトヨタは、販社の不正車検や顧客データの不適切な情報提供、さらに東京五輪選手村での自動運転バスの接触事故など、社会面で取り上げる不祥事が相次いでいるのはどうしてなのか。
2021年9月17日付
●接種者特典で景気刺激、飲食や旅行、地域クーポン割引も(読売・9面)
●トヨタ社員自殺「労災」名古屋高裁判決「パワハラ」認定(読売・31面)
●野田氏も出馬4氏確定、きょう告示(毎日・1面)
●中国、TPP加入申請、アジア太平洋主導権狙い(毎日・1面)
●欧州新車登録8月19.1%減、7月は23.2%減(毎日・6面)
●国交省に団交申し入れ、JAL整理解雇労組「争議解決を」(毎日・19面)
●宇宙観光幕開け、民間船打ち上げ(産経・2面)
●景気回復「テンポ弱まる」部品不足で車生産停滞、8月の月例報告、4カ月ぶり判断下げ(日経・5面)
●東京海上と早大発新興、蓄電池の劣化診断、EVやビル向け(日経・18面)