【ミシュラン クロスクライメート2 試乗】超絶進化!ミシュランの新型オールシーズンタイヤが侮れない

やっぱり不安「雪も走れる夏タイヤ」は本当に大丈夫なのか?

50%摩耗でも、新品と遜色ないレベルで雪上走行をこなす

降雪地はスタッドレス、非降雪地はオールシーズンタイヤという考え方

ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗
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やっぱり不安「雪も走れる夏タイヤ」は本当に大丈夫なのか?

日本ミシュランタイヤから、オールシーズンタイヤ『クロスクライメート+(プラス)』の進化版『クロスクライメート2』が登場した。先代クロスクライメート+の評判が高かっただけに、今回のクロスクライメート2への期待は高かった。早速、2021年初頭と初夏に行われた雪上とドライ路面試乗会でのインプレッションの様子をお届けしたい。

ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

日本では徐々に認知度を高めてきたオールシーズンタイヤだが、クロスクライメートシリーズはすでに日本国内でも評価が高いタイヤの一つだ。2019年、2020年と2年連続で「みんカラパーツオブザイヤー」を獲得しており、初年度販売目標を293%達成するなど、売れ行きは絶好調だ。

クロスクライメート2は、その後継タイヤであり、ドライ性能、ウェット性能、雪上性能、ライフ性能、すべてにおいて進化させたという。今回はそのクロスクライメート2で、雪上とドライ路面それぞれを走行し、その実力の高さを体感できた。その詳細についてご紹介したい。

オールシーズンタイヤは近年、シミュレーション技術やコンパウンド材などの進化により、その性能が飛躍的に向上している。なかでも、ミシュランのクロスクライメートシリーズは、サマータイヤとして当たり前に使え、なおかつ雪用タイヤとしても走行ができる「雪も走れる夏タイヤ」として人気がある。「ほんとにそんなことができるのか?」と疑問に思ってしまうが、これがホントなのだからすごい。

この性能向上は認めるしかない

ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

初夏の関東地域にて、クロスクライメート2のドライ路面試乗会が行われた。まずは先代モデルのクロスクライメート+で走行。周回路における直進性やレーンチェンジ性能、ロードノイズ、乗り心地などを一通り試した。

感想としては、クロスクライメート2を履いた仕様での直進性やコーナリング性能は、クロスクライメート+と変わらぬスタビリティの高さを保ちながらも、ロードノイズが二割ほど静かになったと感じた。

ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

また、ウェット路面でのフルブレーキングテストでも、クロスクライメート2の方が、明確にストップする距離が短くなっていた。筆者の体感だと、1~2mは短くなった印象だ。そして、コーナリング評価路を繰り返し走ったあとのトレッド面の摩耗も、クロスクライメート+に対してダメージが少なく、耐久性も高まっていることが分かった。こうして、数値や視覚的にダメージが減ったところを見せられると、性能向上を認めるしかない。

50%摩耗でも、新品と遜色ないレベルで雪上走行をこなす

ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

雪上テストは、ドライ路面試乗会の約5か月前、北海道のテストコースにて行われ、急加速、急制動、登坂路から始まり、スラローム走行、定常円旋回まで実施された。

筆者はこれまで、オールシーズンタイヤで圧雪路へ挑むなどありえないと思っていた。というか、多くの方がそういう認識であろう。だがクロスクライメート2は、テストコースの試験のすべてを、クロスクライメート+を越える成績で、見事にクリアするのだ。

クロスクライメート2で、わざとラフな入力をしてもタイヤがスリップすることはなく、制動も十分に効く。「夏タイヤで、これだけ雪上を走れるのか!」と思うほど、安心感が高い結果となった。ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

また、使用限界に近い50%摩耗時サンプルタイヤも用意されており、試すことができた。なんと、この50%摩耗でも、クロスクライメート2は新品と遜色ないレベルで雪上走行をこなした。これが出来るのは、雪路に合ったコンパウンド選定と摩耗後に現れる「Pエッジ構造」という新技術のおかげだそうだ。

ミシュランでは、摩耗時の性能劣化まで対策しており、試乗会時にわざわざサンプルを用意してきたのも、それだけ自信があった、ということなのだろう。

ミシュランの傑作タイヤになりうる

ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

ミシュランの技術担当者によると、クロスクライメート2が進化できたのは、次のようなブレークスルー技術を織り込んだことが要因だという。

1.トレッドのコンパウンド見直し(ドライ・ウェット・雪上路面など幅広く対応するサーマル・アダプティブ・コンパウンドを使用)

2.新Vシェイプトレッドパターンの採用(排水・排雪に効くトレッドパターンを新設計)

3.ブロックの倒れ込みを抑止する新サイプ形状(ブイランプエッジ、エルイーブイサイプ)

4.タイヤ摩耗時の性能維持(摩耗時に凹凸が出現するPエッジ構造)

さらに、今回のクロスクライメート2は日本の雪道にあわせてつくられたそうだ。海外の設計部隊が送り込んだプロトタイプタイヤを、日本のドライ路・雪道で試験をし、その結果を設計部隊へとフィードバック、というサイクルを回すことで、このクロスクライメート2を開発していったそう。

日本の雪道といっても、北海道のような乾いた雪道から日本海側の水分量の多い雪道、雪が解けかけた路面からアイスバーン路面まで実にさまざまだが、いずれかの路面条件にピッタリ合わせたようなタイヤではなく、バランスの取れた性能になるようテストをしたという。

試乗会の場で、ミシュラン担当者の方々に、実にさまざまな質問をさせていただいたが、どの質問にも自信満々で説明をしてくれた。彼らが自信に溢れているのは「日本で日本人がテストをしながらつくった」という裏付けがあったからだろう。

降雪地はスタッドレス、非降雪地はオールシーズンタイヤという考え方

ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

オールシーズンタイヤは本来、ちらつく程度の降雪で路面と一部接触可能な積雪状況を想定したタイヤとされている。路面を覆うほどの過酷な積雪路・凍結路においては、スタッドレス(国内表記)又はスノーフレークマーク(国際表記)が表示されている冬用タイヤを全車輪に装着するのが、国土交通省が決めたルールだ。

だが、このクロスクライメートシリーズは、オールシーズンタイヤでありながら、国際表記となる「スノーフレークマーク」がちゃんと付いている。国土交通省もお墨付きのれっきとした「冬用タイヤ」だ。

しかし、緊急避難のための急ブレーキング、急ハンドル時は、そうしたシーンに特化したスタッドレスタイヤの性能に近づくことはあっても敵わない。また、スタッドレスタイヤでも走破不可能なのだから、非圧雪路やアイスバーンの路面ではまず通用しないと思った方がいい。ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗ミシュラン新型オールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」試乗

だが、雪が少ない地域や都心に近いところに住んでいる方は、そうした場面に出くわす心配よりも、冬用タイヤに履き替える行為や、外したタイヤの保管場所など、余計なところで悩むことの方が多い。筆者も昨年12月にスタッドレスタイヤへ履き替えたが、一度も降雪や圧雪路に出会わずにサマータイヤへと戻した。

年に1,2回あるか無いかの降雪に備えて毎シーズン冬用タイヤに履き替えるのはもう古いのかもしれない。1セットで済ませられるならば、これほど「スマート」かつ「経済的」な選択はない。タイヤの買い替えタイミングが近づいていて、冬用としてもいけるタイヤ選定に悩んでいる方にとって、このミシュランの最新タイヤ「クロスクライメート2」は、最適解といえるだろう。

クロスクライメート2は、67のサイズをラインナップして販売される。

吉川賢一|自動車ジャーナリスト
元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けている。

《吉川賢一》

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